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それからと言うもの、爆豪くんから嫌がらせをされる日々が続いた。
『(次の授業は国語かぁ。教科書とノートは、っと…)』
何気無く教科書を捲ると、とあるページに目が奪われた。
『(何これ!?)』
次のテスト範囲になるであろう箇所の、作者の名前の欄をマジックで塗り潰されていた。
『(作者の名前分かんないじゃん…!テストに出たらどうしてくれんの…!)』
私は、隣で知らん顔をする爆豪くんを睨んだ。
***
「おい間抜け女ァ!」
『何、余計なことしないでよ、ねっ…!?』
爆豪くんに声を掛けられたかと思えば、言い切る前に後ろから上靴の踵(かかと)部分を踏まれた。
その拍子に上靴が片方だけ脱げてしまい、私は"しまった"と心の中で呟く。
私が振り返っている間に爆豪くんは脱げた上靴を手に取った。
そして大きく振りかぶる。
『ちょっ…』
「余計なことなんかじゃねー、よっ!!」
爆豪くんは私の履いていた上靴を、ブンッと遠くまで投げてしまった。
***
「でさァ~!昨日もその子とデートしたってワケ!」
「ハッ!くっだらねェ」
『うわ~…邪魔過ぎる~…』
迷惑なことに、廊下で座り込んで話しているのは爆豪くんとその友達が数人。
面倒事を出来るだけ避けたい私は、彼等に気付かれないようゆっくりと後退る。
「お、間抜け女じゃねーか」
『げっ!』
見付かったかと思えば、爆豪くんは立ち上がり私に手を伸ばしてきた。
『(ヤバい、逃げっ…)』
「おい逃げんな!」
『いった!』
グンッと髪を引っ張られ、私は爆豪くんから逃れることは出来なかった。
「さて、今日はどーしてやろうか?」
***
『ハァ~~~…』
「カフェさん、溜め息が重いよ…?」
彼は緑谷出久くん、緑色のふわふわした髪と大きな目が特徴的なヒーローオタク。
中一、中二の頃から彼と同じクラスだったから仲は良い方だと思う。
だから今もこうして休憩時間を共に過ごしているのだ。
『いや、なんかね…三年になってからストレスが半端なくて…』
「あぅ…それってさ、もしかしなくても…かっちゃんのせい、だよね…」
緑谷くんが"かっちゃん"と呼ぶ人物とは、爆豪勝己のこと。
二人は幼馴染みなのだそうだ。
学校で話してるところほとんど見たことないけど…。
「最近のかっちゃん、なんか変なんだ…前まではあんなに人に執着して嫌がらせだけをすることなんてなかったのに…僕みたいに嫌われていたら話し掛けにすら来ないハズ…!なのにカフェさんは違う、他と何がどう違うのかとか具体的に説明しろって言われたら難しくて何て言ったら良いのか分かんないけどっ…」
『おーい緑谷くん、帰って来て~』
苦笑しながら緑谷くんの肩を軽く叩くと、彼はハッとする。
「ご、ごめんっ!」
『あはは!声裏返ってるよ』
笑いながらも私は内心で溜め息を吐いた。
新学期が始まってから、もう既に二ヶ月ほどが経とうとしている。
ひらひらと舞っていたあの桜の木も、今はすっかり緑色の葉をたくさん宿している。
『緑谷くん、彼の幼馴染みなんでしょ?なんとか落ち着いてもらう方法とかない?』
「それは…ごめん…」
『緑谷くんが謝ることじゃないって』
私は苦笑しながら再度彼の肩を叩く。
『(初めて話した英会話の時、私そんなにいけないことしたかなぁ…?)』
よろしくねって挨拶しただけじゃん。
でも爆豪くんはそれを"英語で言えや"って。
そっから今に至るまで、彼は私にずっと意地悪をしてくる。
今までこうやって嫌がらせを受けたことが無いので分からないけれど、これがいじめなんだろうか。
『(まぁ今更あれこれ考えた所で何も変わんないけど…)』
私はまた溜め息を吐いた。