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「全くお前達は!一体何度言えば…」
「…」
『…』
いつか見た光景だ。
保健室で手当を受けた爆豪くんと私は、先生の前に並んで立たされている。
「二人とも次は無いぞ。もし同じようなことがあれば、次は保護者の方を呼び出して面談させてもらうからな」
『…はい』
「…」
私はぼんやりとした頭で返事をした。
冷静になった今、私はひどく落ち込んでいた。
後悔はしていない。
けれど、初めて人に怒鳴った。
初めて、わざと人に怪我をさせた。
「今日のことは電話で保護者の方に説明しておく。分かったら今日は帰りなさい」
『はい…失礼します』
「…」
爆豪くんと私は静かに職員室を出た。
するとそこには…
「カフェさん…」
『緑谷くん!』
控え目な様子で緑谷くんが立っていた。
爆豪くんはしかめっ面で緑谷くんの横を通り過ぎていく。
謝る気は無いようだ。
爆豪くんがスタスタと歩いて行ったのを見届けるより先に、緑谷くんと私はお互いの元へと駆け寄った。
「ごめんね、僕のせいで…っ」
緑谷くんはその大きな目に大粒の涙を浮かべている。
緑谷くんだってバケツをぶつけられて痛かっただろうに。
心配掛けてしまったな…申し訳無い…。
確かに私もやり過ぎた。
『私のことはいいよ!それよりヒーローノートは…!?』
「…流石に無事じゃなかったけど…でも、大丈夫。また書くよ」
『そっか…』
緑谷くんの手に握られた、ボロボロのノートを二人で見つめる。
「ほんとに、このノートは大丈夫だから!それより僕…こんなこと言うのは不謹慎だけど、嬉しかったんだ」
『え…?』
「カフェさんが"友達だから"って言ってくれて…あの言葉だけで、僕の気持ちは救われたよ!」
涙を拭いながらえへへと笑って見せる緑谷くん。
そんな緑谷くんを見ていると、なぜだか泣きそうになった。
「僕のためにありがとう。嬉しかった…」
『…うん…!』
「でも僕のせいで…かっちゃんと喧嘩になっちゃって…ごめん」
『…』
「ほんとに…ごめんね…」
『………うう〜…!』
緑谷くんの優しい声で、そんな顔で、謝られたら。
涙を堪えていたけれど、もう限界だった。
ぽろぽろと止めどなく涙が溢れてくる。
思い出すのは敵意を剥き出しにして私に怒鳴ってきた爆豪くんの姿。
『怖かったよぉお…!!』
声を上げて泣く私を、緑谷くんは慌てながらも宥めてくれた。
(爆豪くんとはしばらく関わりたくない)
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