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「カラオケ行こーよ」
「それっきゃねーな!」
ガヤガヤと教室内が騒がしい。
放課後になった今、みんなはこの後どこに行くだの何だの話している。
『(緑谷くん…)』
ちらりと緑谷くんの方を見る。
すると、ちょうど帰ろうとしていた彼を爆豪くんが引き止めているところだった。
「話まだ済んでねーぞ、デク」
「あっ」
あれは、緑谷くんの大切なヒーローノートだ。
爆豪くんが、彼のノートを取り上げている所が目に入った。
「カツキ何ソレ?」
「"将来の為の…"マジか!?く~、緑谷~!」
「いっ良いだろ、返してよ!」
何となく嫌な予感がして、私は彼等の元へと駆け寄った。
『ちょっと、アンタ等やめっ…』
「あー!!?」
動き出したのが遅かったのか、私達の目の前で、爆豪くんは緑谷くんのノートを…
…爆破した。
そしてそれを窓の外へと投げ捨てる。
「ひどい…!」
『…』
何だろう、この気持ちは。
「一線級のトップヒーローは大抵、学生時代から逸話を残してる」
何ていうか、悲しい。
虚しい、幻滅した。
爆豪くんってこんなことする人だったんだ。
「俺はこの平凡な市立中学から初めて!唯一の!"雄英進学者"っつー"箔"を付けてーのさ。まー完璧主義なわけよ」
せっかく最近、爆豪くんと仲良くなれたと思ったのに。
少しだけ、見直したのに。
少しだけ、素敵だなって思ってたのに。
「つーわけで一応 雄英受けるな、ナードくん」
ポンと爆豪くんが緑谷くんの肩に手を置いた。
「…」
緑谷くんは、ブルブルと震えている。
『緑谷くん…!』
私は彼の元にしゃがみ込み、彼と目線を合わせた。
「いやいや…流石に何か言い返せよ」
「言ってやんなよ、可哀相に 中三になってもまだ彼は現実が見えてないのです」
ニヤニヤと笑いながら緑谷くんを見て笑う彼等にイライラが募る。
『大丈夫だよ緑谷くん、あんなの聞かなくて良いよ。気にすることない…!』
震える彼の背中を強く擦る。
私は精一杯フォローした…つもりだった。
けれど緑谷くんは俯いて、必死に何かを堪えている様子だ。
私の言葉は今は彼に届いていないのかもしれない。
「あ、そんなにヒーローに就きてんなら効率良い方法あるぜ」
爆豪くんが明るい声を上げる。
「来世は"個性"が宿ると信じて…屋上からのワンチャンダイブ!!」
「…!」
「何よ?」
緑谷くんは勢い良く顔を上げるが、手のひらで"個性"の"爆破"を小さく繰り返す爆豪くんに何も言い返せないようだった。
そんな緑谷くんを見た瞬間。
『…』
自分の中の何かが切れる音がした。