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「あ、モカお帰り~!爆豪の怪我大丈夫だった?」
『うん、大したことなかったみたいだよ!』
体育館に戻ると、友達が出迎えてくれた。
爆豪くんはさっさとコートの方へと戻って行く。
「…あははっ」
爆豪くんと私を見ていた友達は、突然小さく笑い出した。
『え?なに、急に…』
「心底変な物を見る目やめて」
いや、突拍子も無くいきなり笑われたら誰だって不審な目を向けちゃうよ。
まぁ言わないけど。
『ごめんて。で、どうしたの?』
「いや、二人とも顔赤くして戻って来たからさ!なんかあったのかと思って!」
『なっ…、えぇ!?』
友達からのまさかの発言に私は目を見開いた。
「爆豪からの指名で二人で授業抜け出すとか怪しくなーい?」
『怪しくないよ、保健室行ってただけで!』
「なんかあったんじゃないの?」
『なんかって何…、』
言いながら、先程の出来事を思い返す。
"たまには役に立つじゃねーか"
フッと笑った爆豪くんの顔が脳裏に焼き付いている。
『…!』
「ほらやっぱ何かあったんじゃん!顔赤いよ!?」
『あ、赤くないよ!気のせい!』
「おーい、次お前等コート入れよ~」
『はーい!…ほら、しょーもないこと言ってないで早く行こ!』
「えぇ~、怪しいと思うんだけどなぁ~」
遠くから先生の声が掛かり、友達と私はそんなやり取りをしながらコートへと向かったのだった。
***
放課後。
今日は委員会があり、帰るのが少し遅くなってしまった。
とは言っても部活生もまだまだ活動中の時間帯なんだけど。
『…』
荷物や鞄は自分の教室に置いたままなので、私はそれを取りに教室へ向かった。
『…』
教室には誰も居ないみたいだ。
私の席は窓際の席なので、夕陽が射し込んでいるのがよく見える。
私は窓際に歩み寄った。
夕焼けが綺麗だ。
『わぁあ~…!』
沈む夕陽を眺めていると、思わず感心の声が漏れた。
なんか…朱(あか)くて、オレンジがかってて…
『爆豪くんみたい…』
ポロッと口に出してから、ハッとした私は慌てて口元を押さえた。
誰が見ている訳でもないけれど、ほぼ反射だ。
『…』
夕焼けは、彼が"個性"を発動した時に飛び散る火花。
夕陽にかかる薄暗い色の雲は、火花が弾けた時の煙幕。
夕焼けを見れば見る程、爆豪くんのことを思い出してしまう自分に苦笑した。
『…』
中学三年になってから、彼と知り合って。
顔を合わせる度に嫌味を言われ、意地悪され…
第一印象は最悪だったけれど。
『…』
階段から落とされた私のために怒鳴ってくれたり。
飛んで来るボールから守ってくれたり。
私の"個性"を、少しだけ褒めてくれたり。
『…意外と優しいんだよねぇ』
ぽつりと呟いた言葉は、空に飲み込まれていった。
「(意味分っかんねェ!!クソが…!)」
同じく委員会後に荷物を取りに来た爆豪くんが、教室の外でプルプルと震えていたことは知るはずもなかった。
(爆豪くんって、たまに優しいんだよなぁ)