03
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「よし、次!」
ピッ!とホイッスルの音がして、私は再度気を引き締めた。
「頑張れー!」
「そこ、パス!」
「いっけぇ!」
みんながゴールに向かって走っており、私もまた走る。
「うわヤバっ…カフェ!」
同チームの男子から、ボールがこちらに投げられた。
『(えっ、ちょっと待っ…!)』
何を焦ったのか、パスにしては速くて重いものだった。
私が慌てて受け取ろうとするも…
「あ…!」
「モカ!」
気付いた時には、もう目の前にボールが迫っていた。
やばい、これって顔面キャッチってヤツ…っ
『っ!』
迫り来る衝撃に耐えるため、グッと身体を強張らせたその時。
「ハッハァ!!俺のボールだァ!!」
突然目の前に大きな手のひらが現れたかと思うと、ボールは手のひらの中に吸い込まれていった。
…爆豪くんだ。
すれ違う爆豪くんの顔が近い。
「っしゃ…おっらァ!!」
爆豪くんは私になんて目もくれず、真っ直ぐにゴールへと向かって行った。
そしてまた、見事なことにゴールを決めて見せる。
「ナイッシュー!」
「勝己、やるぅ!」
『…』
「モカ!大丈夫?」
友達が私の元へと駆け寄って来てくれた。
『びっくりしたぁ…!一瞬顔面に飛んで来たかと思った…!』
「普通に顔面に飛んで来てたよ!」
いまだにバクバクと鳴る心臓。
私は胸を抑えてなんとかそれを落ち着ける。
「ワリィカフェ、パスミスった!怪我無ェ?」
『大丈夫だよ!ギリギリで爆豪くんがボール持ってってくれたから!』
私にパスを出した男子も心配してくれている。
へらりと私が笑うと、彼は安心したようだった。
『…』
クラスメイトに囲まれている爆豪くんをチラリと見遣る。
すると、
「『!』」
パチッと目が合った。
「…」
『あ…』
すぐにムスッとした顔で、逸らされたけれど。
ちょっとくらいお礼言わせてくれても良いじゃん…。
「勝己、腕から血ィ出てねぇ?」
「あ?」
「さっきカフェとボール奪い合ってた時引っ掻かれたんじゃね?」
「ハァ?これくらい何とも………あ、」
爆豪くんが思い出したかのようにこちらを振り返る。
…何となく面倒な予感がするぞ。
私は爆豪くんにくるりと背を向けた。
「おい間抜け女」
『…』
「シカト ブッこいてんじゃねーよ」
ニヤニヤと笑いながらこちらにやって来る爆豪くんに、私は逃げようとする…
が、後ろから無理矢理肩を組まれて阻止された。
無駄に馴れ馴れしい爆豪くんに、私は頬を引き攣らせる。
「テメェのせいで怪我したんだろうが、責任取れや」
『えぇ…怪我したなら保健室行った方が良いと思うんだけど…』
我ながら冷めた返事だ。
いや、相手が普通のクラスメイトならこんなことは言わないしむしろ謝るくらいだ。
けれど相手は爆豪くんだし、自分から突っ込んで来たんだし。
『(でも、謝った方が…良いのかな…?)』
なんとなく素直になれない…というか、なりたくない。
普段散々好き放題されているのだから。
『…』
爆豪くんと私を見て、先生が口を開いた。
「ん?爆豪、怪我したのか?酷いようなら保健室へ行って来なさい」
「んじゃー付き添いはお前だ、来いや」
『え、付き添いとか居る!?』
「センセー、ちょっと保健室行ってくらぁ」
引き摺られるようにして、私はほぼ強制的に保健室に連れて行かれたのだった。