08
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コンコンと控え室の扉をノックする。
するとすぐに中から切島くんの返事が聞こえてきた。
私は扉を開けた…と同時に、
『せいっ!!』
切島くんに殴り掛かった。
「うおっ!?」
切島くんは驚きつつも咄嗟に硬化でガードする。
『今の攻撃をガードできるなら心配無さそうだね、切島くん!』
チアの件や"切島くんの言う大事な話"が気になり、気恥ずかしい気持ちを隠すために…
とりあえず奇襲をかけてみた。
「はぁ…なんか少し緊張してたけど、どっか飛んでったわ」
苦笑する切島くんを見て私は安心する。
良かった…いつもと何も変わらない、大好きな切島くんだ。
「つーかどうしたんだよ、こんな所で。他のヤツ等の応援は良いのか?」
『うっ!そ、それは…』
良い訳はないんだけど、私は何とか言葉を紡ぐ。
『切島くんに言いたいことがあって来たんだよ…』
「言いたいこと?」
試合前で集中したいだろうからあまり時間を取らせる訳にはいかない…
今は言いたいことをできるだけ手短に伝えるべきだ。
『まずは、体育祭の結果…私負けないとか言ったのに、こんな情けない結果でごめんね』
「…」
『でも自分の納得のいく"勝ち"じゃないと嫌だったから、棄権したことに関しては後悔してないよ』
「…」
『私はここまでだけど…切島くんはもっと上に行けるって、私信じてるよ』
そして私は一呼吸おく。
これを言うかは相当迷ったけれど、本音をぶつけようと思った。
『切島くん、勝って。それで、"大事な話"聞かせて?』
そう言うと、切島くんは目を大きく見開いた。
「!」
正直、彼の言いたいことは大体分かる。
何年相棒やって来たと思ってるんだ。
勘違いだったらめちゃくちゃ恥ずかしいけれど。
「モカ…」
真面目に私の話を聞いてくれた切島くんに私は無言で頷いた。
「なんだよそれ、最っ高だぜ…!更にやる気出てきた!」
拳を合わせて気合いを見せてくれる切島くんに、私は安心して笑みを漏らす。
「さっきのチアの格好で応援してくれたらもっと嬉しいんだけどな!」
『あれは忘れて』
せっかく無かったことにしようとしていたのに、また思い出して恥ずかしくなってきた。
すると。
「…」
『?』
ふいに切島くんがこちらに手を差し出して来た。
「…モカはこの体育祭で、もう戦わねぇんだよな?」
『え?うん』
「ならモカの力、俺に分けてくれ」
少し強張った笑顔を見せる切島くん。
『…』
…切島くんの緊張が少しでも解けますように。
そう願いながら私は彼の手を両手で包み込んで力を込めた。
(モカにここまでさせちまったからには、優勝するしかねェな!)