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飲み物を買って再び観客席へ戻って来ると、何やらブツブツ言いながら先程の戦いをノートに書き留める緑谷くんが目に入る。
彼の付近に座る切島くん、常闇くん、お茶子ちゃんは何か言いたげな様子で彼を見ていた。
爆豪くんはそんな緑谷くんに対して、かなりイライラしているようだ。
私は飲み物を持ってそんな爆豪くんの隣…
切島くんの斜め後ろの席に座る。
「…」
爆豪くんは相変わらずイラついているが、特に何も言ってこないので私はここに居て良いのだろう。
『(いつも切島くんとは並んで過ごしていたから、こうやって後ろから彼を眺めるのは新鮮かも…)』
「終わってすぐなのに、先 見越して対策考えてんだ?」
「いや、一応っていうかこれはほぼ趣味っていうか…」
私はペットボトルに口を付けながら、前に座るお茶子ちゃんと緑谷くんを眺める。
飯田くんが居なくなったことにより、ふたりの間には一席分の距離がある。
それがなんだか見ていて焦れったく感じた。
「せっかくクラス以外の凄い"個性"が見れる機会だし…!あ、そうそう!A組のみんなのもちょこちょこ纏めてるんだ。麗日さんの"無重力"も!」
「!」
ノートを見せられて驚いた様子のお茶子ちゃんは、すぐにノートから目を離した。
「デクくん会った時から凄いけど、体育祭で改めて…やっぱやるなぁって感じだ…!」
《「さぁ第四試合だ!」》
プレゼント・マイクの声に、緑谷くんとお茶子ちゃんは二人して慌てて前を向く。
『(なに今の、めっちゃキュンってした…!)』
二人のやり取りに心が和んでいると切島くんが立ち上がった。
そろそろ控え室に行くのだろう、彼は静かに観客席を出て行く。
『(どうしよう、切島くんが行ってしまう…!何か一言言いたいけどこんな、みんなの居る所じゃ…あ、控え室に着いて行けば良いのか…!いや待てよ、でもそれだとみんなの試合が見れなくなる…クラスメイトとしてみんなの応援もしなきゃだし…着いて行っても切島くんの集中力の妨げになるかもだし…あ、でも何か…何か一言っ…)』
頭の中でぐるぐると考えている間に、切島くんの姿は見えなくなってしまった。
『(あぁ~!完全にタイミング逃した…!)』
ハァと落ち込んで自分の足元を見ていると。
隣で爆豪くんが小さく呟いた。
「…はよ行けや」
頬杖を付いて目を逸らしたままぶっきらぼうに言う爆豪くん。
『…え?』
思わず聞き返すと、突然彼は私の胸倉を掴んで立たせた。
『わっ…!』
「お、おい爆豪!?」
「爆豪アンタ何して…!」
止めに入ろうとしてくれた瀬呂くんや響香ちゃんが言い終わる前に、爆豪くんは私に怒鳴った。
「俺の視界内でそわそわされっと鬱陶しンだよ!目障りだ、とっとと散れ!!」
そしてパッと手を離される。
「か…かっちゃん…カフェさん…」
緑谷くんは爆豪くんと私を交互に見て、おろおろしている。
クラスメイトのみんなは水を打ったように静かになった。
そんな中、私は小さく口を開く。
『…うん…!』
「…」
『爆豪くんありがとう!私、行ってくるね!』
これは爆豪くんなりに、"切島くんの所へ行くべきだ"と背中を押してくれたんだと思う。
私は爆豪くんにお礼を言い、切島くんの後を追った。
「…チッ」
「「「(なんか…カフェ流石だな…)」」」
クラスメイトのみんなに心配を掛けていたとは全く知らずに。