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《「さぁさぁみんな楽しく競えよレクリエーション!」》
レクリエーションが終われば最終種目…一対一のガチンコバトルだ。
「トーナメントか…!毎年テレビで見てた舞台に立つんだあ…!」
「去年トーナメントだっけ?」
「形式は違ったりするけど、例年サシで競ってるよ。去年はスポーツチャンバラしてたはず!」
最終種目はトーナメント戦とのこと。
ずっと特訓してきた体術が活かせる時が来た、のだが…。
『…』
私はまた騎馬戦の時のことを思い出していた。
「それじゃあ組み合わせ決めのくじ引きしちゃうわよ。組が決まったらレクリエーションを挟んで開始になります!」
『(私は…まだ…)』
「レクに関して進出者16人は参加するもしないも個人の判断に任せるわ。息抜きしたい人も温存したい人も居るしね!」
ミッドナイトがくじ引きの箱を持つ。
「んじゃ、一位のチームから順に…」
『(まだ…騎馬戦の結果に、納得してない…!)』
「あの…!すみません」
振り返ると、そこには挙手をした尾白くんが居た。
あぁ尾白くん…流石私達、体術コンビだね。
考えることは、一緒だ。
「俺…辞退します」
「「「えぇっ!?」」」
みんなは驚いたように尾白くんの方を振り返る。
「尾白くん、なんで!?」
「せっかくプロに見てもらえる場なのに…!」
「騎馬戦の記憶、終盤ギリギリまでほぼぼんやりとしか無いんだ。たぶんヤツの"個性"で…」
尾白くんの目線の先には私達と共に騎馬を組んだ心操くんが居る。
「チャンスの場だってのは分かってる。それを不意にするなんて愚かなことだってのも…!」
「尾白くん…」
「でもさ!みんなが力を出し合い争ってきた座なんだ…!こんな訳分かんないままそこに並ぶなんて…俺は出来ない…!」
尾白くんの言葉は、私の心内をそっくりそのまま語ってくれているようだった。
尾白くんが作ってくれたこの流れで、私も発言するタイミングを逃す訳にはいかない。
「気にし過ぎだよ!本戦でちゃんと結果を出せばいいんだよ〜!」
「そんなん言ったら、私だって全然だよ!?」
「違うんだ…!俺のプライドの話さ…俺が嫌なんだ」
「「「…」」」
プライドの話と言われれば、みんなは黙るしかない。
「あとなんで君等チアの格好してるんだ…!」
「「「ギクッ」」」
こんな状況でもツッコミを忘れない尾白くんに素晴らしいと思いながらも、私はミッドナイトを真っ直ぐ見ながら手を上げた。
『A組のカフェモカです。私も尾白くんと同様の理由から棄権します』
「カフェさん…」
こちらを見た尾白くんに、私は頷いた。
『実力如何以前に何もしていない者が最終ステージに上がるのは、この体育祭の趣旨と相反すると思います。私も訳が分からないまま…みんなと同じ舞台に上がるのは、嫌なんです…!』
よし、言った。
なんだか少しスッキリした気がする。
「クッ…何だコイツ等…!男らしいな!!」
切島くんは涙を流してこちらを見ている。
「そういう青臭い話はさァ…」
先程より幾分か低い声のミッドナイトに、ごくりと生唾を飲む。
出過ぎたことを言ってしまっただろうか。
「好みッ!!」
鞭を振るミッドナイトは、なんだか嬉しそうに見えた。
「尾白、カフェの棄権を認めます!」
「「「好みで決めた!!」」」
尾白くんと私の肩に青山くんは手を置いた。
「僕は…やるからね?」