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無事に髪染めが終了し、切島くんと私は彼の部屋で雑誌を見ながらだらだらと過ごしている。
彼はどのようなヘアセットにするか悩んでいるらしい。
「そーいえば春休み入っても体術の稽古続けてんのか?」
『うん、今日も朝から行ってきたとこ!』
「へ〜!モカ、頑張ってんだな〜…!」
『みんなに負けてらんないからね〜!ちょっとでも力付けなきゃと思ってさぁ』
春休みに入って、更に体術の取得に力を入れていることを話せば、切島くんは素直に感心してくれる。
「じゃあ身体ゴツくなったってのも、あながち間違ってな゙っ」
『その言い方やめて』
いつものように切島くんに腹パンをキメる。
女子に対して失礼なヤツめ…!
『…っていうかさ…もしかして切島くんも身体、鍛えてる?』
腹パンした方の手を数回にぎにぎしてみる。
「あ、やっぱ分かる?」
『うん。腹パンの感覚が前までと違う』
「どんな判断の仕方だよ」
腹筋が前よりも付いたのかな。
…よく見れば肩周りも少しゴツくなったような。
まぁ切島くんは前からトレーニングしてたもんなぁ。
「おいあんま見んなって、照れるじゃねェか」
『寝言は寝て言いなよ?』
「ひっでぇ!」
私達はいつものように笑い合う。
これから高校生活が始まるけど、決して平穏なものではないと思う。
毎日がきっと勉強や実習やらで多忙な日々を送ることになるだろう。
そんな中でもこうして笑い合っていけるといいな。
「なぁ、モカ」
『ん〜?』
ふと名前を呼ばれ、ちらりと彼の方を見る。
珍しくこちらを見ないまま、切島くんは伏し目がちに言葉を続けた。
「入試ん時な、俺んとこもみんな凄かったんだ。巨大な0ポイント敵をぶん殴ってブッ壊したヤツとか、腹からビーム出すヤツとか…派手なヤツいっぱい居てさ。仮想敵もロボとは言え、手強かった」
『…』
「俺の"個性"で…通用すっかな…」
普段の姿からは想像できないような、小さく掠れた声で彼は言った。
『(あぁ、切島くんも不安なんだ。私だけじゃないんだ)』
切島くんは自分の"個性"が"地味"であることが不満なようで、あまり自分の"個性"が好きじゃないみたいだ。
こんなに素敵な"個性"なのに。
『私は切島くんの"個性"好きだよ!援護型の私からすれば、攻防出来るだけでも凄いけど…切島くんの"個性"は"守る"ために戦える。それって凄く格好良いと思う』
「…」
『だから…"絶対大丈夫"なんて適当なこと言えないけどさ…』
「…」
『私達の"個性"、通用"するか"じゃなくて、通用"させよう"!一緒に頑張ろう!』
切島くんの手を取りそう言えば、彼は顔を上げた。
入試直後の私を彼が支えてくれたように、今度は私が彼を支えてあげたい。
「モカお前、やっぱ男らしいわ…!最高だぜ!!」
『さっきまでの不安そうな顔どこ行ったの!?』
「んなもん飛んでったわ!!」
『何それ適当じゃん!もう!』
そうだよな、通用させような、と笑う切島くんを見ていると、なんだか身体中の緊張感が程良く抜けていくのを感じた。
(そうと決まれば入学式の日まで毎日毎日特訓だ!)
(頑張れ切島くん!)
(いやお前も一緒にやるんだよ!)
(え!?)