08
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
うん、良いポジションが取れたかもしれない。
来る途中でクラスの子達を見失ってしまったけれど。
…ここは真ん中より少し前辺りと言ったところだろうか。
この狭い通路の中では真ん中より後ろからスタートしてしまうと混雑でろくに動けなくなるだろうし、前の方だとどんな障害が来るかは分からないから様子見をしたい。
A組のみんなのように戦闘向きでは無い"個性"の私は、少しでも頭を使わないと、みんなに勝てないのだ。
「スタート!!」
ミッドナイトの声に合わせて、みんな一斉に走り出した。
後ろの方では"押すなよ!""危ねえだろ!"等と声が聞こえてくる。
やっぱり後ろの方ではなくて良かった。
すると突然私の少し前を走っていた生徒達がその場で固まる。
彼等の足元には氷が纏わり付いていた。
『(うわぁ轟くん、一発目からかましてくるなぁ…!)』
更に足元だけでは無く、地面まで氷で凍らせてしまったようで私は思わず立ち止まる。
その隙に青山くん、ヤオモモ、爆豪くん、切島くんが一歩先に飛び出て行った。
私は地道に氷の上を滑って進んで行く。
『(くっそぉ…これすっごいタイムロスだ…!)』
少し時間を掛けてしまったけれど、なんとか氷ゾーンを抜ける。
すると目の前に現れたのは…
《「第一関門"ロボ・インフェルノ"!!」》
『入試の時の…仮想敵!?』
仮想敵…ロボットだった。
辺りには既に倒れた仮想敵も居る…
ということはもう、この敵を倒した生徒が居るんだ。
氷で遅れをとったぶん、巻き返さなきゃ。
そう思った時、近くに居る男子生徒が何やら叫び始めた。
「おい…誰か下敷きになったぞ!」
「死んだんじゃねぇか!?」
「死ぬのか!?この体育祭!」
"誰かが下敷きに"。
そんなの聞いてしまったら、放って置けるはずがない。
でもこれは彼等の時間稼ぎのための嘘かもしれない。
ミッドナイトはコースアウト以外なら何をしても良いって言ってたし。
『(もし嘘なら…怪我人は居ないに超したことはないし、本当なら急いで救けて、手当てすればまだ全然大丈夫だ!)』
倒れた仮想敵の所に向かおうとすると。
「死ぬかぁー!!」
《「1-A切島 潰されてたー!!」》
なんと、倒れた仮想敵を蹴破って出て来たのは、硬化した切島くんだった。
「轟の野郎、わざと倒れるタイミングで…!俺じゃなかったら死んでたぞ!」
何やら変にスイッチが入った切島くんは、そのまま先へと駆けて行った。
「A組の野郎は…本当嫌なヤツばっかりだな…!」
そして今度は逆サイドから、いつかのB組の男子生徒が出て来た。
「俺じゃなかったら死んでたぞ!」
《「B組鉄哲も潰されてたー!!ウケる!」》
切島くんと同じセリフを言い、その男子生徒は先へと走って行った。
「"個性"だだ被りかよ!ただでさえ地味なのに!」
「待てコラァアアア!!」
『良かった、怪我人じゃなくて…』
元気に走って行く二人を見て、私は安堵した。