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「じゃあ、ガッツリ頼むぜ!」
土曜日になり、稽古を終えてシャワーを浴びた後に切島家へと向かった。
そこで私を待ち構えていた切島くんは、今までのまま何も変わっていなくて安心した。
開口一番"ちょっと身体ゴツくなったんじゃね?"と失礼なことを言う切島くんに腹パンをキメて、家の中へとお邪魔する。
春休みに入って一週間ちょっと会ってなかったくらいでそんなにゴツくなんて、なってない…はず。
そして今日は何をして遊ぶのかと聞くと、突然頭を下げられた。
そして切島くんから一言。
"俺の髪を染めてくれ"、と。
『なんで美容院行かないの、私こんなのやったことないよ!?』
「美容院クソ高ェんだもん!良いだろ、要るモンは全部揃えたし!」
『いや私ド素人なんですけど』
「頼む!!俺なりの…決別なんだ!!」
『…!』
切島くんのその言葉に私は息を呑む。
きっと以前彼から聞いた、"救けるべき者の前で、自分の身体が動かなかった"話のことなんだろう。
彼から聞いた話だと、ピンチに遭遇していた同級生を救けようとしたものの、恐怖のせいで身体が動かなかったため救けることが出来ず…
その同級生はその場に駆け付けた三奈ちゃんに救われた、と。
同時に、彼は自分が情けなくなったそうだ。
彼の言う"決別"とは、そんな自分との決別のことを指すのだろう。
『…どうなっても怒んないでね?』
「!あぁ…ありがとなモカ!」
私の言葉を聞いて顔を綻ばせる切島くん。
私は彼の揃えた整髪道具を手に取った。
***
『っじゃーん!どーだぁあ!?』
「うぉおおおお!!モカ凄ぇ!お前凄ぇよ!!」
あれから何時間経ったのか分からないけれど、暗かった彼の髪は真っ赤に仕上がっていた。
我ながら初めてとは思えないくらい良い出来栄えだ…!
「うっはー、やっぱ赤カッケーなァ!」
鏡を見ながらしきりに髪を触る切島くんに、私は後片付けをしながら苦笑する。
「ありがとなモカ!」
『お礼に何してもらうか考えとこ〜』
「何でもしてやるよ!うぉおお赤髪だぁあ!!」
テンションが上がったままの彼は、唐突に私の腕を掴んだ。
「なぁなぁ!モカはどう思う!?」
期待の入り混じったような目で問いかけてくる切島くんが、なんだか子供みたいで可愛いと思えた。
『あはは、格好良いよ。凄く似合ってる!』
「!」
率直な感想を述べると、切島くんは一瞬固まった後、私の手を離して再度鏡と睨めっこを始めた。
「(か、格好良いか…そうかそうか…!)」
『(なんか凄い嬉しそうだ…!)』
ご満悦な様子の切島くんを見て、私は再度笑った。