07
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『ん…』
ゆっくりと目を開くと、ぼやけた視界に赤色が映り込む。
これは何だろう…?
それより私はさっきまで何をしていたんだっけ。
『(あ、確か切島くんがマッサージをしてくれて…)』
徐々に覚醒していく頭で考えながら瞼を擦る。
『(それで…)』
ぱちりと目を開く。
私のすぐ目の前には、切島くんの顔があった。
『っ!?』
私の叫び声は声にならず、驚いた拍子に後ろに飛び退くと、ゴンッと後頭部を壁にぶつけた。
視界に入った時計を見ると、もうとっくに日が暮れる時間になっていた。
なに、つまり…いつの間にか二人でこんな時間まで寝落ちしちゃってたってこと?
前は切島くん、後ろは壁に挟まれて動けない私は、この状況をどうしようかと必死に考えた。
『(ていうか切島くんの顔、近いっ…!)』
普段身長差があるので、あまりこうやって正面からじっくりと彼の顔を見ることは無かったため、とても新鮮だ。
『(ど、どうしよ~…)』
とは言うものの、穏やかな表情で眠っている彼を起こすのも気が引けた。
『…』
見かけによらずふわふわな髪を一撫しようとする。
が、腕が上がらない。
『…?』
視線を少し下に下げて自身の腕を見てみる。
…彼の手が私の手を握っていたのだ。
私の手なんて全く見えないほどの大きな手ですっぽりと握られていては何も出来ない。
『…っ』
かぁああっと顔に熱が集まっていくのが分かる。
『(と、とりあえず!起きるまで、切島くんの寝顔見とこう…!)』
そう決めた私は彼の手から視線を離した。
そして彼の顔に視線を移す。
すると…
「『!』」
眠っていたはずの切島くんとパチッと目が合った。
『…起きてたの?』
「…今起きた」
なんだかお互いに妙に冷静に会話をしている状態だが、これでも私は非常に驚いている。
「もうこんな時間か…」
私と同じく、目だけを時計に向けた切島くんがぽつりと呟く。
『うん、そろそろ帰らなきゃね!』
「あぁ」
『…』
「…」
相槌を打つ切島くんだが、それに反して彼は動こうとしない。
『あの…切島くん?帰らないの?』
「なぁモカ、聞いてくれ」
ぐっと握られている手に力を込められた上に真剣な眼差しで見つめられれば、私はぎこちなく頷くしかなかった。
「もう体育祭がすぐそこに迫ってる訳だが…」
『?…うん』
「俺達二人はずっと特訓してきた。ぜってェ、俺等は他のヤツ等に負けらんねェ!」
『うん、もちろんだよ!』
やるからにはトップを目指す、そうでないとプロヒーローには到底近付けない。
「だから俺等二人がもし体育祭の個人戦で当たった時は…そん時は、お互いに手加減無しで、全力で戦おうな」
『うん…手加減したら許さないから!』
私の言葉を聞いて切島くんはニッと笑った。