07
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「はぁ?怖ェって何がだよ」
上鳴の言葉に瀬呂が首を傾げる。
「決まってるだろ?失敗した時のこと考えるのが、だよ」
「!」
ドクンと心臓が大きな音を立てた。
"もしもモカに告白して振られたら"。
考えるだけで指先から冷たくなっていくような感覚がした。
頬杖を付いてこちらを見てくる上鳴に、俺は思わず俯いた。
「………そんなん…怖くねェ訳ねェだろ…」
自分でも驚くくらい情けない声が出た。
「まぁ押し倒して拒否られたら、そりゃあ傷付くわな~」
「そっちかよ」
上鳴と瀬呂はどうやらベッド云々の話が好きらしい。
そっち系の話以前に、その前の段階も踏めていないのだが。
「で。結局何で付き合わねーのよ?」
「…」
瀬呂の声に合わせて上鳴もこちらをじっと見てくる。
「それはだな…」
ひと呼吸置いてから俺は話した。
今の俺にはモカを守れるほどの力は無いからだと。
だから俺は、もっと強くなって胸を張って"俺がモカを守る"って言い切れるようになってからじゃねェと付き合う資格なんて無いと思うと。
二人は真面目に聞いてくれているようだった。
「切島らしいっちゃ切島らしいけど…」
「なんか意外とそういうとこ、デリケートなんだな!」
瀬呂と上鳴は顔を見合わせて苦笑していた。
「何だよ、俺は真剣にっ…」
「どうしてそう遠回りしたがるのかねぇ」
「好きなら好きで突っ走った方が、一番ストレートで男らしいんじゃね?」
やれやれとポーズを取ってみせる瀬呂と、頬杖を付いたままの上鳴の"男らしい"という言葉にハッとする。
「た、確かに一理あるな…!いや、でももし付き合えたとしても…俺にはまだモカを守れる力は…」
少し俯いてそう言うと、瀬呂と上鳴は顔を見合わせた後、口を開いた。
「好きだから守りたい、それじゃダメなのかよ?」
「!!」
上鳴のその言葉に、身体がビリビリッと痺れる感覚がした。
「何だよそれ…!すっげー男らしいじゃねェか…!!」
「ま、うじうじした切島なんて見たくねーし?」
「切島がこうやって悩んでる内に他の男に先越されて、そいつがカフェのことを守る役になっちまうかもしれねーしな!」
「それは嫌だ!!」
モカの隣に俺以外の男が居て、そいつがモカを守るところなんて見たくない。
「でも分かんねェぜ?この前だって緑谷に呼び出しされて、二人で昼メシ食ってたじゃん。USJの時の、敵の主犯格にも目ェ付けられてるっぽいし」
「うっ…」
敵は俺が追い返すとして、緑谷は…
何か"話がある"と緊張した面持ちでモカに声を掛けていた。
正直何の話か気になるが、そこは二人の話だし俺がしゃしゃり出る幕じゃねェ。
「なぁ切島、もう答え出てんだろ?」
瀬呂の言葉に、俺はゆっくり頷いた。
「カフェがこのまま誰かに取られても良いのか?」
「良いわきゃねェよ…モカを守るのは、俺だ!!」
俺が声を大にして言い切ると、二人は肩を組んで応援してくれた。
俺のために一緒に悩んで…
コイツ等マジでイイヤツ等だぜ…!
「っしゃ!ここまで来たら後は分かるな?善は急げ、だ!」
「おう!」
上鳴の言葉に、俺は大きく返事をした。
***切島視点終了