07
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すぐに"瞬間移動"という文字が頭に浮かぶ。
『!?』
驚いて振り返ると、男が私のすぐ後ろまで迫っていた。
私が咄嗟に少女を庇うのと、男が鉄パイプを大きく振りかぶるのは同時だった。
「女の子二人ともお持ち帰りぃ~っ!!」
「どけェカフェッ!!」
爆豪くんの声を聞いた私は反射的にしゃがみ込み、少女を自分の胸中で抱き締めた。
BOOM!!と自分の真上で爆破音が鳴り響く。
男の背後から、爆豪くんが爆破攻撃を喰らわせたようだ。
「…うあ゙…がはぁっ…!!」
そしてそれをまともに喰らった男が、私と少女の方にゆらりと倒れてくる。
『!』
私は咄嗟に少女から手を離して地面に手を付き、倒れてくる男の腹部を蹴り飛ばした。
男はドサリと音を立てて地面に倒れ込む。
『ふぅ…!…あ、何か捕縛する物…!』
「いや、必要ねェだろ」
『え?』
倒れた男の顔に視線を向けると、気を失っているようだった。
相手を縛れる物なんて持ち合わせているはずもないので、気を失っているというのは正直助かる。
『それにしてもさっき…何でこの人、私の後ろにすぐ来れたんだろう…?』
「高速移動の類の"個性"だろ。コイツ、俺の攻撃躱しやがった…チッ」
「おにいちゃん!」
イライラとし始める爆豪くんの足元に、少女が勢い良く抱き着く。
「あ゙?」
「おねえちゃん!」
次に、少女は私の手をぎゅっと握る。
『ん?』
「おにいちゃん、おねえちゃん!救けてくれて、ありがとう!!」
満面の笑顔を見せる女の子に、私は思わずキュンと来てしまった。
か、可愛い…!!
天使が居るよ、こんな路地裏に…天使が…!
『…だってさ!ありがとう、爆…お兄ちゃん』
「ブッ殺すぞテメェ」
少しふざけてそう呼んでみると、見たこともないような鬼の形相で睨まれた。
『冗談じゃん~…あ、警察来た!』
こちらに駆けて来る警察の隣に、女性が立っている。
「ママ!!」
「ハナ!!」
お互いの姿を見て駆け出し、抱き締め合う二人が親子であることは一目瞭然だ。
『…なんかいいね、あぁいうの』
「はァ?クソ髪の女は黙っとけ、一々うっせェ」
『あれ!?ちょっと待って、さっき名前呼んでくれなかった!?何であだ名に戻ってんの!?』
「知らねー何も聞こえねー」
もう視線さえ合わせてくれない爆豪くん。
そりゃ確かに毎日切島くんと爆豪くんと三人でお昼ご飯食べる度に、挨拶代わりに"クソ髪の女か""カフェね"というやり取りをしていれば、嫌でも覚えるだろう。
実際に呼ばれたことがなかったから少し驚いたけど。
そんな中で、少女…ハナちゃんと彼女のお母さんがこちらにやって来る。
「ハナを救けてくださってありがとうございます!本当に何とお礼を言えば良いか…」
「すみません、通報を受けた警察ですが、加害者は…」
おお、なんだかごちゃごちゃしてきたなぁ。
爆豪くんと私が警察に事情聴取されている隣で、犯人が連れて行かれるのを見た。
後から聞いた話ではこの男、少女誘拐拉致監禁事件の指名手配犯だったらしい。
"高速移動"の"個性"を使って少女を誘拐していたそうだ。
「おにいちゃん、おねえちゃん、またねー!!」
笑顔でお母さんに手を引かれて去って行った彼女と、また会う日は来るのだろうか。
「君達は雄英生だね。署まで同行願えるかな」
『あ、はい!』
「(これも俺の名誉のため…!)」
爆豪くんと私は、パトカーに乗り込んだ。