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クラスメイトの顔を見て安堵のため息をついたのも束の間。
「おい…目ェ逸らしたら殺すって言っただろ」
先程よりも幾分か低くドスのきいた声で死柄木弔が私に言う。
『で、でも今のはっ…』
「うるさい…あれ、また泣いたのか?これだからガキは嫌いなんだ」
先程の安堵の涙のことを言っているのだろうか…
殺されることから他のことに注意が移るなら何だって良い。
それより、今の爆風のおかげで死柄木弔と私の間に少し距離が出来た。
『(逃げるなら今しか、)』
「余計なこと考えるなよ…」
『っ…』
私の考えは詠まれていたようで、釘を刺される。
死柄木弔は間入れず、怯んだ私の腕を掴んだ。
「…」
『やっ…』
そのまま力の限り身体を引き寄せられ、私はまた死柄木弔に捕まってしまった。
「…」
腰元に腕を回され、逃げられないように固定される。
『(…殺されたく、ない…)』
己の内側から湧いてくる恐怖心に、何も抵抗出来ずにいると。
「…」
何を思ったのか、死柄木弔は彼の顔面に着いている"手"を静かに外した。
みんなに背を向けている今、私にだけにその素顔が晒される。
『!』
やはり、以前私が回復手当てを施した人物で間違いはなかった。
「オールマイトにも救けてもらえず仲間にも置いて行かれて…」
死柄木弔は私の頬に手を滑らせる。
そして…
「お前って、ホント可哀想なヤツ」
死柄木弔が私の目元の涙を、舐めた。
『…は…?』
「だあー!!」
何を考える間もなく、近くで雄叫びが聞こえたかと思えば。
声の主はこちら…死柄木弔に向かって殴り掛かってきた。
「!」
瞬間的に死柄木弔が私の肩を抱き、殴り掛かる拳を避けた。
かと思えば、今度はそのまま私の背中を強く突き出したのだ。
"死柄木弔が声の主に向かって私を投げ付けた"という表現が正しいだろう。
『う、うそぉ…っ!?』
「え!ちょ、おまっ…どわぁああっ!?」
死柄木弔に追撃すべく拳を振り翳していた彼と思い切りぶつかり、彼と共に私は地面に倒れ込んだ。
『切島くん…!なんかごめん…!』
「へへ、ナイスキャッチ!」
先程の死柄木弔とは全く違う、あたたかくてゴツゴツした彼の大きな手に懐かしさと安心感を覚えてまた泣きそうになる。
さっき頭打った衝撃で涙腺でも緩んだのだろうか。
「色々言いてェことあっけど、とりあえず後回しだ!立てるか?」
『うん…大丈夫、ありがと』
私は切島くんに支えられる形で起き上がり、構えの体勢を取った。
「くっそ!良いとこねー!」
「スカしてんじゃねぇぞ靄モブがァ!!」
「平和の象徴はテメェ等ごときに殺れねぇよ」
「かっちゃん…みんな…!!」
目に涙を浮かべて喜ぶ緑谷くん。
「出入り口を押さえられた…こりゃあ…ピンチだなぁ…」
口振り的には全然ピンチではなさそうに、死柄木弔はそう言う。
「このウッカリヤローめ!やっぱ思った通りだ!靄状のワープゲートになれる箇所は限られてる…その靄ゲートで実体部分を覆ってたんだろ!?そうだろ!」
『…!』
「全身靄の物理無効人生なら"危ない"っつー発想は出ねぇもんなあ!!」
爆豪くん、凄い…
最初に13号先生の前に出て黒霧に攻撃を仕掛けたのは、考え無しに突っ込んだって訳じゃなかったんだ。
「ぬぅっ…」
「っと、動くな!"怪しい動きをした"と俺が判断したらすぐ爆破する!!」
「『ヒーローらしからぬ言動…』」
切島くんと私は爆豪くんを眺めながら苦笑する。
こんな時でもいつもの調子の爆豪くんに、なんだかとても安心した。