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ドサリと目の前で敵が倒れる。
「とりあえずこれで全部、かな?」
『はぁ、はぁ…っけほ』
全力で呼吸を整える私に対して、尾白くんは少し汗をかいている程度だ。
相手が思っていたより強くはなかったとはいえ、あれだけの連戦で息が上がらないなんて尾白くんは凄い。
やっぱ私なんてまだまだなんだと痛感する…もっと鍛えないとだ。
『ありがと尾白くん…ほんと頼りになる』
「え!?いや、今回は敵がそこまで強くなかったっていうか…」
『…あははっ』
わたわたとする尾白くんは戦闘時の雰囲気とは違って、私は思わず笑ってしまった。
「ちょ、笑ってる場合じゃないって!」
『分かってる…けど、なんとなく感じるんだ。みんなまだ殺されてないと思う』
私の言葉に、尾白くんは息を呑んだ。
『とりあえずここはまだUSJ内っぽいし、みんなもどこかに居ると思う。また敵がどっから出て来るかも分かんない、しっ!』
尾白くんの後ろから飛び掛かってきた敵に蹴りを入れる。
「敵は数で攻めて来てる感じだったからな。とりあえず…フンッ!」
今度は尾白くんが尻尾で私の背後の敵を薙ぎ払ってくれた。
「とりあえず!今はこの火災ゾーンを出て、みんなと合流するのが最優先だね…!」
私達は頷き合い、どちらからともなく走り出す。
その間も敵はちょこちょこと出て来ては攻撃を仕掛けてくる。
一度に攻めて来ないだけマシだけど…
何でだろう、何か変だな。
「カフェさん、体術得意なんだね…!なんか意外っていうか…知らなかった」
『えへへ、まぁね!尾白くん程じゃないけど。体術は今まで見せる機会無かったからねぇ』
敵が目の前に居るというのに思わず苦笑する。
そう、ヒーローを目指す立場として、回復の"個性"だけではやっていけない…守られてばかりではダメなのだ。
たぶん体術をやっていなければ体力テストでも最下位だっただろう。
『尾白くんこそ体力いっぱいあって凄いと思っ…、!』
言い掛けて私は目を見開く。
私の目の前にはまたあの、私達を散り散りにした黒い靄が現れた。
『これは…あの靄敵の…!?』
思わず足を止めると、少し進んだ所でそれに気付いた尾白くんがこちらに引き返してくる。
「カフェさん!」
段々と覆われていく視界。
走って振り切ろうとしてみたけれど靄が更に大きくなっただけだった。
『(避けられない…!また、どこかへ飛ばされる…?)』
視界が真っ暗になり、尾白くんの姿は見えなくなった。