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***切島視点
「…ん…」
ふと目が覚めた。
窓から差し込んでくる日の光はまだ薄暗い。
ゴシゴシと目を擦ると、目の前にモカの寝顔があって少し驚いた。
そっか、昨日はあのまま寝落ちしたんだっけ。
『すぅ…すぅ…』
規則正しい寝息をたてて眠るモカに、どうしようもなく愛しさを感じる。
俺は、モカの手を軽く握った。
「…」
この小せェ手で、コイツは色んな人を救ったんだ。
最近で言えば、エリちゃんや警察官の人…
他にも、緑谷や爆豪…天喰先輩、他のクラスの奴等。
それに俺だって、コイツに救われてきた人間の一人だ。
「(オメーはいつだって、俺の憧れで、俺の好きなヤツで…)」
そんなモカに、昨日の夜言われた言葉が蘇る。
"これからも二人一緒に、支え合って生きていこうよ"
あれってどういう意味で言ったんだろう。
いや、モカのことだし深い意味は無いと思うけど。
けど、正直…
プロポーズかと思った…!
俺の手にアイツの手を重ねて、じっと俺の目を見て真剣な表情でそう言い放ったモカはなんだか大人びていて。
それはもうイケメンだった。
男らしくて、凄ェ尊敬する。
「(こんな可愛い顔して、男らしいこと言うのズリィって…)」
俺は隣で眠るモカの頬を指でつついた。
『…んぅ』
頬をつつかれたからか、小さく声を漏らすモカが可愛い。
あぁ、好きだ。
何度も思い知らされているが、俺はやっぱりモカが好きだ。
「(………俺の…)」
俺だけのものになってほしいと思うのは、欲深過ぎるだろうか。
今まではただ、"好きだ!"って気持ちで突っ走ってきた。
まぁ正直、ぼんやりと付き合いたいと考えていたこともある。
でも"俺にはまだコイツを守れる力は無いから"って、見送っていた。
けど…周りからのモカへの行動や態度を見ていると、今更すっげぇ不安になってきた。
こんなにも可愛くて格好良くて、男らしくて…
男女分け隔てなくて、仲間思いのモカのことだ。
俺が知っているだけでも、死柄木や他校の肉倉先輩から好意を持たれているのは確実だ。
それに、最近天喰先輩と一緒に行動していたり…
爆豪がモカと親しげに話したりしている(ように見える)のを見て、少し胸がモヤッとすることがあった。
何て言うか、焦りとか不安な感じ。
こんなに魅力いっぱいのモカなんだから、誰かに取られちまうかもしれねぇ。
そんなの耐えられる訳ねぇし、自分のものにしてしまいたい。
「…モカ…」
数日前に病院で眠っていた時のモカの姿を思い出す。
あの時に比べ、随分と顔色が良くなった。
「…」
目に入るのは、モカの唇。
あの時はなんだか胸がいっぱいになって、思わず…キ、キス…しちまったけど。
「(モカの唇、柔らかかったな…)」
あの時のことを思い出してしまい、かぁっと顔に熱が集まるのが分かった。
***切島視点終了
『…ん…』
辺りが明るい…もう朝か…。
昨日は切島くんと話しているうちに、いつの間にか眠ってしまっていたらしい。
目を開けなくても、ベッドから彼のにおいがしてそれを実感させられた。
『…』
睡魔に負け、また夢の世界に旅立とうとしていると。
「…」
ふにふに、と唇に違和感を感じた。
『ん…』
ゆっくりと瞼を持ち上げると、目の前には切島くんの顔。
「おぉ、はよ。ワリィな、起こしちまったか?」
『…悪いと思ってるならそれやめない…?』
違和感の正体は彼だった。
切島くんが私の唇に指を押し付けて、遊んでいたのだ。
『ふふ。おはよ、切島くん』
平和な日っていいなぁ、なんて考えると自然に笑みが零れた。
少しの間だけでも、世界に平和な時間が増えますように。