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「おぅ、わりィなこんな遅くに…」
『んーん、私も眠れなかったし…』
早速切島くんの部屋へ入れてもらった私。
そんな私は砂藤くんに貰ったというジュースを頂いていた。
『この時間に飲むジュースって、なんか罪な味がしていつもよりも美味しく感じるねぇ!』
「あ、それマジで分かる!」
私達はジュースの美味しさに笑顔を零した。
「美味ェ~!」
切島くん、笑ってる。
『…ふふっ!』
なんだか随分と久し振りにこの笑顔を見れたような気がして、私の顔も綻ぶのが分かった。
「ん?何だ?」
『なんでもないよ~』
軽く笑った私に切島くんはそっか、と笑った。
そしてそのまま、あ、と思い出したかのように声を上げる。
「さっきさぁ、みんなで風呂入ってたろ?」
『ふふん!いいでしょ?』
「羨ましかねェよ」
もうすっかりいつもの調子な私を見て、切島くんは眉を下げて笑った。
「…モカはさ!やっぱ凄ェや!」
『ん?』
突然の切島くんの言葉に、私は首を傾げた。
『な、何いきなり…?』
「俺はさ、組員の奴等と対峙した時、やっぱり固まっちまったんだ。…中学ン時みたいに」
『…』
"中学の時"。
切島くんのその言葉の中にはいろいろな物事、思いが隠されている。
動揺、焦燥、無念、自責。
中学生の時、襲われそうになっていた同級生をたまたま見掛けたが、体が固まってしまい動けなかったんだそうだ。
切島くんはそんな過去に捕らわれていた。
「…あン時は固まったまま最後まで動けねェで…たまたま通り掛かった芦戸が助けてくれた」
『…』
「今回オメーは致命傷になるくれぇの大怪我をしてまでも…エリちゃんを守った」
『…』
「芦戸もだけど、モカも凄ェ。緑谷も爆豪も、みんなみんな…マジで凄ェ」
『切島くん…』
俯いて話す切島くんの顔を覗き込むが、彼は床を見つめたままだ。
「少し前に俺と特訓した時さ、モカは"自分が弱くて情けない"って泣いてたけどさ…」
『…』
「間違い無くオメーは強ェよ。俺なんかより、全然!」
また眉を下げて笑った切島くん。
私は彼の手に自分の手を重ねた。
…切島くんの笑顔が痛々しくて。
そんな彼を見るのは辛い、そう思った。
『…だったら…これから…』
「…?」
控えめにこちらを覗き込んできた切島くんと、ぱちりと目が合った。
『これからも二人一緒に、支え合って生きていこうよ』
目を合わせてそう言いながら、切島くんに重ねた自分の手に少し力を込める。
すると、
「えっ…!?」
切島くんは顔を赤くして目を見開いていた。
『…あ、』
それを見た私も釣られて赤くなる。
「…」
『…』
逆プロポーズかよ…!
思い返してみれば、盛大なプロポーズのセリフを口走っていた。
いや、待って、そんなつもりじゃなかったんだ。
ていうか切島くんも、乙女みたいな反応やめてほしい。
「…ったく、男らし過ぎだって」
『いや…その…ゴメンナサイ…』
ハハッと笑って頭を掻く切島くんと、恥ずかしくて両手で顔を覆う私。
「はは…うじうじしてらんねーや」
『切島くん…!』
「段々格好良くなっていくモカに置いてかれねェように、俺も頑張んねェとなァ!」
今度の笑顔は、私の好きな彼のそれだった。
『うん!私も負けないように頑張る!』
「あァ!二人で…いや、みんなで頑張ろうな!」
私達は笑って頷き合った。
「…あとさ、さっきみたいなのは…俺から…」
『ん?』
今度はごもごもと口篭もる切島くん。
「大人になったら…改めて、俺から言わせてくれ」
そう言って薄く笑う切島くんに、今度はなんだか急に大人っぽさを感じて、心臓が跳ねた。