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「カフェ」
『へっ?…轟くん…?』
珍しく轟くんから声を掛けられ、私は驚き目を見開いた。
「…ニュース見た」
『あ、うん…?』
私達が八斎會に突入したあの事件は大きく報道されていたらしい。
入院中に私もテレビで何度か見た。
「…」
轟くんはちらりと私の腹部に目を遣る。
「よく生きてたな」
「「「!」」」
轟くんの声が無駄に辺りに響いた。
クラスメイトのみんなは会話を一斉にやめ、こちらにやって来る。
「ちょっと轟…!」
「いくらイケメンで天然だからってそこに触れんのは無神経過ぎんだろ!」
「言い方がワリィよ!」
響香ちゃん、上鳴くん、瀬呂くんが轟くんを囲む。
『みんな、大丈夫だよ』
思い出すとまた…治崎に貫かれた時のことがフラッシュバックする。
カタカタと震えそうになる自分自身の身体をぎゅうっと抱き締める。
『…大丈夫だから…』
「「「…」」」
へらっと笑うが、みんなはそんな私を見て何も言ってくれなかった。
「…モカ…」
「…」
三奈ちゃんが心配そうにこちらを見ている。
切島くんもだ。
彼はどこか少し、窶(やつ)れているようにも見えた。
『轟くん、心配してくれたんだよね?』
「これが心配なのかは分からねえが…少し気になってた」
「それを心配って言うんだよ!」
上鳴くんが全力でツッコんでいる。
いつものように私も便乗してからかう…なんてことは、今の私には出来なかった。
今はちょっと、心の余裕が無い。
『みんなも…お騒がせしてごめんね。"個性"上、無事でした』
えへへと笑ってみんなに言い切る。
すると尾白くんがゆっくりと口を開いた。
「…"個性"上、ってことは…さ…」
『うん…下手したら死んでたみたい』
「「「…!!」」」
頷いた私に、みんなは言葉を失った。
『あ、でももう大丈夫だよ!傷口もなんとか塞がったし…』
「え、塞がんの!?こんな数日で!?穴空いたんだよな…!?」
『なんか私の"個性"、頑張ってくれたみたい』
「"頑張ってくれたみたい"って…オイオイ…」
『とりあえず、もうほんとに大丈夫だから…みんな心配してくれてありがとね!轟くんも』
「あぁ」
私の言葉に、轟くんはこくりと頷いた。
「モカちゃぁぁあん!!」
『わぶっ…!』
入れ替わりに、透ちゃんが飛び付いてくる。
「わぁぁあん!!生きてて良かったぁ!モカちゃぁああんっ…」
『うん…ありがと…』
姿は見えないけれど、ぎゅうっと抱き締められている感覚がする。
これが、人間のあたたかさだ。
私は静かに彼女を抱き締め返した。