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大学病院に搬送され、なんだかんだで数日が経った。
エリちゃん救出作戦に赴いた私達インターン組は、みんな揃って寮に帰って来た。
ミリオ先輩だけが、もう一日様子見で入院するそうだ。
『…』
少し不気味だが、私の腹部に空いていた穴はもう完全に塞がっており、本当に穴が空いていたのか疑わしいくらいだ。
ただ、打撲や擦り傷等の怪我が治らない。
お医者様によると、回復力が腹部に偏っているため、打撲等の怪我はこれからゆっくり治っていくことになると思う、とのことだった。
ガチャリと寮の扉を開く。
すると…
「帰って来たァアア!!奴らが帰って来たァ!!」
峰田くんがこちらを見て叫んだ。
同時に、共同スペースに集まっていたクラスメイトのみんなが一斉に振り返る。
「大丈夫だったかよォ!?」
「ニュース見たぞおい!」
「大変だったな!」
「まァとにかくガトーショコラ食えよ!」
「お騒がせさんたち☆」
「みんな心配してましたのよ」
ドワッと一斉にみんなが集まって来てくれた。
『わぁ、みんな居る…!』
私達インターン組はそんなみんなの様子に圧倒される。
「お前等毎度凄ぇことになって帰って来る!怖いよいい加減!」
上鳴くんが切島くんと緑谷くん、そして私を順番に指差して叫んだ。
「無事で何より」
「ブジかなぁ…無事…うん」
障子くんと響香ちゃんがまだ少し心配そうな様子でこちらを見ている。
「お茶子ちゃん梅雨ちゃんモカちゃん~!!」
「カフェさん!みんなも…!良かった、帰って来てくれて…」
透ちゃんが私達女子にまとめて抱き着き、その隣から胸を撫で下ろしている尾白くんが出てくる。
「!」
轟くんは何やらスマホを気にしているようだ。
「みんな、心配だったのは分かるが!落ち着こう!!」
騒がしくするクラスメイト達の前に、飯田くんがシュバッと現れた。
「報道で見たろう、あれだけのことがあったんだ!級友であるなら彼等の心を労り、静かに休ませてあげるべきだ」
「「「…」」」
「身体だけでなく…心も擦り減ってしまっただろうから…」
こちらに気を遣ってくれているのがよく分かる。
現にクラスメイトのみんなは飯田くんの話を聞いて、口を噤んでいた。
「…」
『…』
私達インターン組は緑谷くんに目配せして、頷き合う。
「飯田くん、飯田くん」
「厶」
代表して緑谷くんが声を上げてくれた。
「ありがとう、でも…」
サー・ナイトアイの死。
"個性"を失ったミリオ先輩。
いろいろな出来事が脳裏に蘇る、けれど…
「大丈夫」
そう強く言い切った緑谷くん。
そんな彼を見て飯田くんはその場に固まった。
「…」
飯田くんはちらりと私を見遣る。
『…うん』
私も緑谷くんと同じように大きく頷いて見せた。
「じゃあいいかい」
そして私達が何を答えるよりも先に…
「とっっっっっても心配だったんだぞもう俺はもう君達がもう」
「おめーがいっちゃん激しい」
荒ぶる飯田くんを瀬呂くんが制している。
「ラベンダーのハーブティーをお淹れしますわ!心が安らぎますの!」
その横ではヤオモモがキッチンに向かい始めていた。
「…」
「お茶子ちゃん大丈夫…?」
お茶子ちゃんは何やら考え事をしているようだ。
梅雨ちゃんが心配そうに覗き込んでいる。
「私、救けたい」
『…』
お茶子ちゃんの短い言葉に主語はなかったけれど…
私達インターン組はピンとくるものがあった。
きっとお茶子ちゃんは、サー・ナイトアイにもっと何かしてやれなかったのかと、自分なりに考えているのだろう。
「…うん」
梅雨ちゃんもそれを汲み取ったようで、お茶子ちゃんを見て頷いていた。