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オールマイトの言いたいことをまとめると、つまり…
『"サー・ナイトアイと同じ致命傷を受けたにも関わらず、どうして私だけが生きていたのか"…ってこと、ですよね…?』
「…」
オールマイトは何も言わない。
私の問いに対して何も言わないオールマイトを見て、私は口を開いた。
『そんなの…分かりません…!私だってまだ頭が追い付いてないんです…!』
「カフェさん…」
緑谷くんが心配そうにこちらを見ている。
『分かんない…!確かにあれは"死"でした…!死ぬっていう感覚でした…!なのに今、何で私が生きてるのかなんて…そんなの…!!』
「オールマイト、もうやめな」
『…リカバリーガール…』
取り乱した私を見兼ねて、リカバリーガールが短く言葉を発した。
「今のこの子には…精神的に追い打ちを掛けているのと同じさね」
「…すまない、カフェ少女…私も少々気が動転してしまっているようだな…」
リカバリーガールに窘められたオールマイトが自嘲気味に笑った。
「…オールマイト。その話し方だと合理性に欠くと思いますね」
今度は相澤先生が声を上げた。
「カフェ、落ち着け。俺達は"お前がなぜ生きてるのか"を聞きたい訳じゃない」
少し離れた所にいた相澤先生が私のベッドの近くまでやって来る。
「"お前の身体に起こった奇跡が何によるものかを調べたい"んだ」
『奇跡を…調べる…?』
私は相澤先生の言葉に首を傾げた。
「まぁもうほとんど調べ終わったんだがね。あぁ安心しな、ちゃんとご両親の許可は得てるよ。お見舞いにも来ていたようだしねぇ」
『!…そうだったんですか』
言われてみれば、サイドテーブルに私の好きなお菓子やお花が添えられていた。
そこまで見てる余裕、無かったな…。
「ここから先は少し、君の個人的な情報が絡んでくる話になるんだが…」
ちらりとオールマイトは切島くんと緑谷くんの方を見る。
『彼等が居ても問題ありません。話してください』
「…分かった」
オールマイトは頷いた。
「あんたが昏迷状態の間、医師とアタシであんたの身体を調べさせてもらったのさ」
「すると…驚きの結果が出た」
オールマイトの言葉に、思わずごくりと唾を飲んだ。
切島くんや緑谷くんもこの話は話されていなかったようで、オールマイトの話を真剣に聞いている。
「君の"個性"が君を守ったんだよ」
『…え…?』
"個性"が…私を、守った…?
「君の腹部には握り拳程度の穴が空けられた。その直後に緑谷少年の攻撃により治崎は気絶し、ヤツの"個性"は強制的に解除された…」
「通常であれば出血多量で余計に"死"に近付くところだったんだがねぇ、あんたの場合は特別だった」
『…』
「身体に流れる"個性"の細胞が…その場であんたの患部に対して出血凝固させた。その後に炎症性細胞が個性因子と融合し、回復させた…自分の腹部を見てみな」
『…!』
リカバリーガールに言われるがまま、私は病衣を捲り腹部を確認した。
『ほんとだ…!穴が…ない…?』
「打撲痕やかすり傷は残ってるが…不思議なことに穴が塞がってるんだ」
『!』
確かに、治崎の石柱は私を貫いたはずだった。
でも、ない。
穴がどこにもない。
普通は今頃包帯グルグル巻きで点滴を打たれているか、死んでいるか…だけれど、私の腹部にはどこにも穴等空いていなかった。
「モカ…」
一連の話を聞いていた切島くんが、ゆっくりと顔を上げる。
「オメー…不死身…なのか…?」
『…え…』
不死身…なんて。
そんな非現実的なこと、ある訳ない…でしょ…。
そう言いたかったけれど、私の考えは言葉にならなかった。
「私達もその辺りが疑問でね…もし本当にそうなら、これは簡単に片付けられる案件じゃない。また…敵に狙われる日が来るかもしれない」
『オールマイト…』
USJで死柄木弔に目を付けられていたことを覚えていたようだ。
「神野事件の際にベストジーニストの腹部に穴を空けた敵のボス…オール・フォー・ワンに"個性"を奪われる可能性もある」
『…そんな…』
私のこの"個性"がもし失くなったら。
考えただけで、喉の奥がキュッと締まるのが分かった。