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「…実はね」
そこからはみんなを代表して、オールマイトが話をしてくれた。
なんと私は丸二日間、意識を失って昏迷状態だったようだ。
身体がダルい理由や声が出にくいのはこれが理由だったみたい。
でも、これは徐々に治るらしい。
『…』
また、私が昏迷状態の時に起こった出来事をまとめると、こうだ。
まず、エリちゃんは無事だった。
代わりに…
治崎の"分解"による家屋の倒壊4棟、周辺住民の軽傷者は3名。
緑谷くんはボロボロの腕以外は異常特に無し。
相澤先生は十針も縫うことになったが入院等は不要。
プロヒーロー・ロックロックは刃が身体に刺さっていたが幸い内蔵を避ける形だったため、大事は無いそうだ。
切島くんは全身打撲・裂傷が多いが命に別状は無し。
天喰先輩は顔面にヒビが入ったが後に遺るものではない。
ファットガムは骨折が何箇所か…こちらもいずれ治るものだそうだ。
『よかっ…た…』
ほっと溜め息をつくと、張り詰めていた自分の身体から力が抜けていくのが分かった。
『…みんな…無事で…!』
「「「…」」」
笑顔を見せた私とは逆に、みんなは顔を曇らせる。
…まるで、みんな無事じゃないみたいな…。
『…オール…マイト…?』
私は恐る恐るオールマイトを見遣った。
「無事じゃ…なかった」
いつもよりも低く落ち着いた声でそう言うオールマイトは、言葉を続けた。
保護されたエリちゃんは熱が引かず今も眠ったままで隔離されていること。
治崎を逮捕したが、護送中に"敵連合"が警察を襲撃したこと。
『敵連合が…!』
「…あぁ…」
そして…
ミリオ先輩は"個性"を消失し、休学という形をとることになったこと。
サー・ナイトアイは…死亡したこと。
『…そ、んな…』
言葉を交わしたことのある人物の"死"に生まれて初めて直面し、鳥肌がたつのが分かる。
どうしよう…
こういう時、なんて言えばいいのか…全く分かんない…
頭が…追い付かない…。
「…サー・ナイトアイは…君やリューキュウが、緑谷少年達と合流する前に治崎と交戦したんだ」
「片腕を失い…腹部に大穴を空けられた。更に天井から瓦礫が落ちてきて、彼はその下敷きになった」
オールマイトと相澤先生が淡々と説明してくれる…
けれど…そんなの聞きたくない…
『…っ』
「オールマイト!先生!その辺の話は今じゃなくてもっ…」
切島くんが私の様子を見てか、庇うようにしてそう言ってくれる。
「いや…これは無視出来ない…重大な問題だ」
『…重大な…』
オールマイトはこくりと頷く。
もう既に脳内がパンクしそうだが、重い雰囲気の彼等を前にすると、私は話を必死に整理することしかできなかった。
「サー・ナイトアイの腹部に大穴を空けたのは治崎。カフェ少女も…穴の大きさはサー・ナイトアイに比べると小さく、握り拳程度のものだったが…状態は同じだ」
『…』
"緑谷く ドスッ "
緑谷くんの元へ駆け出そうとしたあの時。
後ろから、コンクリートの石柱のようなものが自身の腹部を貫いていたことを思い出してしまう。
『………うぅっ…』
「オールマイトっ!やめてくれ…!」
吐き気が込み上げてくる。
思わず口元に手を遣った私を、切島くんは守るように包み込んでくれた。
「…いずれも…治崎が君達に負わせた、"致命傷"だった」
…致命傷。
死の原因となる重い傷。
また、 取りかえしのつかないほど大きな痛手のこと。
『…』
「サー・ナイトアイにも石柱が刺さり、それによって彼は死亡した…同じように、カフェ少女…君にも石柱が刺さった」
『…』
「同じ致命傷だったはずなんだ。しかし…ナイトアイは死亡したにも関わらず、君は生きていた…」
『…!』
そこまで聞いて、オールマイトや相澤先生の言いたいことがなんとなく分かった気がした。