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チュンチュン…
小鳥の鳴き声がする。
目の前は真っ白な天井。
背後は薄くて硬い…ベッド?
『…』
ここは…?
身体を起こそうにも、なんだか身体が重い…というかダルくて動かせない。
『…』
なんだか頭の中がすっからかんになった感じで、上手くものを考えることが出来ない。
でも、ひとつだけ。
『生きてる…』
そう、私は生きている。
どういうことなんだろう。
どうして…生きてるんだろう…?
『…』
蘇るのはあの時の記憶。
暴走する緑谷くんとエリちゃんを何とかしなきゃと思って…
走り出したあの時。
私は治崎に殺されたはずだ。
後ろから…石柱のようなものが私の腹部を貫いていた。
血も吐いた。
たくさんの血液が私の体内から外へと流れ出て…
意識が段々と遠くなっていくあの感覚。
何とかしようにも、何も出来ないあの感覚。
『(確かに感じた…あの時のあれは…"死"だった)』
そこまで思い返すと、全身がカタカタと震え始めた。
『…うぅう…っ』
ぽろぽろと涙が溢れた。
ただただ、怖かった。
『っく…うぅ…っ』
涙を拭おうと腕をあげようとする…
が、何やら不自然に身体が重くて動かない。
『…?』
ちらりと目線を下にやると、そこには真っ赤な髪の人物がベッドに顔を伏せているのが見えた。
『きり…、し…?』
なんだろう、喉に支(つっか)えて声が出ない。
片腕をゆるりと動かし、包帯だらけの赤い髪をぽんぽんと撫でる。
すると、彼の肩がピクリと動いた。
「………モカ…?」
彼はぽかんとした表情で私を見る。
『きりし…』
私を呼ぶ彼の声と、彼を呼ぼうとする私の声はお互いに震えていた。
「目ェ…覚めたんか…?嘘じゃ…」
『切島…く…!』
「モカっ…!!」
切島くんはいつものように私を抱き締め…ては、こなかった。
代わりに、私の両手を強く握り、大粒の涙を流していた。
『…』
よく見れば、切島くんだってたくさん傷を負っているじゃないか。
八斎會の組員と戦ったんだ。
凄いよ、格好良い。
もっと誇りに思って、笑っているべきだよ。
切島くんは、笑っているべきなのに。
「モカ…モカ…っ」
こんなにも辛そうに名前を呼ばれたら、何も言えなくなるじゃないか。
***
あの後切島くんはすぐに先生に、私が起きたことを報告しに行ってくれた。
「よく目覚めてくれた、カフェ」
「辛かっただろう…頑張ったねえ」
「カフェ少女…良かった…!!」
相澤先生とリカバリーガール、オールマイトがわざわざやって来てくれた。
「カフェさんっ…!良かった、目が覚めたんだね…!」
「あァ…!良かったぜ…マジで…」
そして、話を聞きつけた緑谷くんと…今にも泣き出しそうな切島くん。
「もう…マジで…起きねぇのかと…俺ァ…っ」
『大袈裟だよ、みんな…』
途切れ途切れに言う切島くんに私が苦笑する。
するとオールマイトが口を開いた。
「いや…大袈裟なんかじゃない。これは…奇跡に程近い出来事なんだよ」
『え…?』
私は思わずオールマイトを見上げた。