22
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
***切島視点
俺は八斎會の拠点に乗り込み、組員の一人 乱波肩動との戦闘で大怪我を負った。
そのため最寄りの大学病院へ搬送された訳だが…
「モカッ!!」
相澤先生からモカの容態を聞いた俺は居ても立っても居られず、モカの病室へと駆け込んだ。
「きっ切島くん、安静にしなきゃ!激しく動いたりしたらダメって看護師さんに言われたでしょ…!?」
「っせぇ!んなもんどーだっていい!!」
「そ、それにここ病院だし…走ったり大声出したりするのは良くないよ…!」
緑谷が俺の後を追ってきた。
でも今はンなこたぁどうだっていい。
「モカ!」
ガラッと勢い良く病室のドアを開け、俺はベッドに駆け寄った。
「…え…?」
一瞬で、頭が真っ白になった。
俺の目の前にはベッドに横になるモカが眠っていた。
「何だよ…これ…」
…顔には呼吸器をつけ、腹部にはたくさんの管のようなものが入れられている状態で。
モカの戦闘服に、手に、身体に、赤黒い血液が付着している。
明らかに、重体だった。
「…オイオイ…嘘だろ…モカ…こんなの…まるで…」
「切島くん…」
カクンと足の力が抜け、膝から崩れ落ちそうになる…が、緑谷が隣で俺の身体を支えてくれた。
「まるで…死んじまうみてェな…っ」
言いながら、自分の目から涙が溢れるのが分かった。
…モカの腹部には穴が空いていた。
サー・ナイトアイや神野事件のベストジーニスト程ではないが、間違い無く腹を何かが貫通した痕だ。
モカの"個性"は回復だが、これは…"回復"とかいう次元のもんじゃねェ…。
コイツはすぐに自分や仲間の怪我を回復させちまうから、普段からモカの怪我を見慣れねぇっつーのもあるが…
「…」
頭の中がおかしくなりそうだ。
俺はモカの手を取り、力強く握った。
「おいモカ!返事っ…返事してくれ、頼むから…!なァモカ!モカッ…!」
「切島くん…」
「なんでっ…何でおめぇがこんな目に遭わなきゃなんねェんだよ…!何で…何で…!」
「…」
「クッソ!!クッソぉぉお…!!」
モカを傷付けた治崎への憎悪、またコイツを救けられなかった自分への怒り。
モカが死んでしまうかもしれないという恐怖。
「チクショぉおおおおおおっ…!!」
俺は哮った。
***
"病院内では静かに"という看護師さんの注意を受け、俺はその後は何も言えなかった。
モカの隣に座っていると、モカの親御さんがやって来て。
医師と相澤先生、オールマイトやリカバリーガールも来て、何やら話をしていた。
緑谷も居た。
何の話をしているのか理解出来ずに、俺はただひたすらモカの手を握っていただけだった。
しばらくすると大人達はみんな部屋から出て行った。
…医師とリカバリーガールを残して。
「アンタも大怪我してんじゃないか!しっかり休みな!」
「…」
リカバリーガールに注意を受けたが、俺はまともに返事すら出来なくなっていた。
「リカバリーガール、俺…ここに居ちゃダメッスか」
離れたくない。
モカと一秒でも離れるのが怖い。
「…悪いが、少し席を外してほしいんだがねぇ」
「…どうしても…ダメッスか…」
「ここは医療現場だ。…言いたいこと、分かるかい?」
優しくも有無を言わせない雰囲気のリカバリーガールに、俺は頷くしか出来なかった。
「…はい、すんません…」
「さ、貴方達はこっちですよ」
「…」
看護師さんに、部屋に戻るよう急かされる。
「今は戻ろう、切島くん…」
それでもなかなか動かない俺を見て、緑谷が俺の肩をそっと支えながら部屋まで連れて行ってくれた。