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「どこまで行けば良いんだ…?」
「まさか今、俺達が来た路も全て変形されていたのか…?」
『!…待って!あそこ、誰か倒れてる…!』
奥の路をしばらく駆けていると、また床に倒れている人物を見つけた。
「ヤクザか!?」
『いや、あれは…』
「…ミリオ!?」
私の横から天喰先輩が飛び出して行った。
『…!!』
頭が真っ白になった。
いや、だって。
『…うそ、でしょ…』
"透過"の"個性"を持つミリオ先輩だよ?
雄英の"BIG3"の中でも、プロヒーローの中でも…
一番トップに近いって言われてた、ミリオ先輩だよ?
「ミリオ…!!」
天喰先輩はミリオ先輩の傍で膝を付き、身体を大きく揺する。
「嘘だろ、ミリオ…?起きてくれ…!嫌だ…嫌だっ…!」
『…』
私は天喰先輩の後ろで呆然と立ち尽くしていた。
あのミリオ先輩が、こんな。
「なんでこんなにボロボロなんだよっ…!!」
天喰先輩が涙を流した。
私達は…何かとんでもない相手と戦っているんじゃ…。
『………とりあえず…"止血"を…』
呆然とした頭で私もミリオ先輩の元へふらりと歩み寄り、手を翳す。
『…』
ダメだ、余計なことを考えてしまって中々"止血"が進まない。
集中出来ない…。
ミリオ先輩をここまで追い詰めた相手に…
私達は…勝て「カフェさん」
ぽつりと名前を呼ばれ、私はビクッと肩を揺らした。
「…」
天喰先輩がじっとこちらを見ている。
『すっすみません!すぐに…!』
だめだ、集中しなきゃ。
ちゃんとしなきゃ。
『(ちゃんとしなきゃ、ちゃんと…)』
あれ、ちゃんとって何だ…?
そもそも私は"止血"をしてるんだっけ、"回復"させるって言ったっけ?
頭の中がごちゃごちゃしていて、なんだか思考が上手く纏まらない。
「…カフェさん!」
『っ、はい…』
「…」
天喰先輩がミリオ先輩を見つめていた…
かと思えば、そのままぽつりと天喰先輩は呟く。
「………たすけて…くれ…」
『え…?』
ゆっくりと顔を上げてこちらを見る天喰先輩と目が合った。
「ミリオを…救けて…」
今まで見た中で、一番辛そうな天喰先輩を見た、その瞬間。
頭がすぅっとクリアになるのが分かった。
『…』
…情けない。
目の前に倒れている人が居るのに、私は何してんだろ。
冷静さを失っちゃだめだ…!
『…はい…!』
力をセーブして、出し惜しみをしている場合じゃない。
後から眠くなるとか関係ない。
今は目の前の人を救けなきゃ…!
私はミリオ先輩の患部に手を翳し、出せるだけの力を出した。
全力だ、この後私はどうなってもいいや。
最悪私はこの場に置いて行ってもらおう。
私が残るよりもミリオ先輩の体力が少しでも回復する方が良い。
『(力の出し惜しみなんかしてられない…!)』
ミリオ先輩に翳す手に、出せる中で最大の力を込めた。
これが私の、現段階での発動最大限…!!
『"全回復" ゴッ ぎゃん!!』
何を思ったのか、天喰先輩が私に対して…
頭突きを繰り出した。
先輩からモロに頭突きを食らった私は、軽く吹っ飛んでしまう。
『え?ちょっと待って、え?意味が分かんないんですけど…何で頭突き?』
「…痛い…」
頭上にはてなマークを飛ばしまくっていると、天喰先輩が自身の頭を押さえながら私を見遣った。
「"出し惜しみはしないでおこう"なんて考えてない…?」
『ふえっ』
図星過ぎて変な声が出てしまった。
なんだ、天喰先輩はエスパーか何かなのか。
「ミリオを救けてくれようとする気持ちは嬉しい。けど、ミリオを救けてもそのせいでカフェさんが倒れてしまったら…意味が無い」
『…』
…確かに、考え方が安易過ぎた…かな。
『す、すみません…』
反省していると、目の前の天喰先輩と目が合う。
「みんなで…帰ろう…!」
『!…はい!』
頷き合ってから、私は再度ミリオ先輩に手を翳した。