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天喰先輩に手を翳しながら、手当てを進める。
『(全身、打撲や出血が多いけど特に頭部からの出血が酷い…これはいつ起きるか分かんないな…先輩を担いで動くことも考えなきゃ…)』
"個性"を発動しながらしばらく考え込んでいると。
「う…」
『!』
今まで気を失っていた天喰先輩が、私の膝の上で顔を顰めた。
かと思えば。
「ハッ…!」
突然、天喰先輩が目を開いた。
パチッと目が合った…
かと思えば、彼はゆっくりと口を開く。
「ミリオ…?」
『違いますカフェです』
どこをどう見たらあんなコミカルな顔に見えるんだ。
いや、もちろん良い意味で。
私が真顔でそう言うと、天喰先輩は少しきょとんとした後、いつもの表情に戻った。
「カフェさん…?」
『はい。先輩、身体起こせますか?』
「ん…」
私に背中を支えられる形で、天喰先輩は上体をゆっくり起こした。
「あれ…痛くない…?血も…止まってる…」
痛み止めと止血だけさせたタイミングで天喰先輩が目を覚ましたので、"回復"自体は出来ていないけれど…
「これも…カフェさんが…?」
『はい…ちょっと私も今は体力に余裕無くて、まだ"回復"は出来てないんですけど…』
「…充分だ、ありがとう…」
天喰先輩は私にお礼を言いながら、ゆっくりと立ち上がった。
「こっちの路が通れそうだぞ!」
「ヤツ等の罠じゃないか?」
「ヒーロー達はそっちへ行ってた…俺達も行こう…」
警察官の方々が銃を構えながら、先の路へと進んで行く。
私も行かなきゃ。
なのに、
『…』
なんとなく"行きたくない"と思った。
先程から嫌な予感は増すばかり。
…怖い。
行かなきゃ…エリちゃんが待ってるんだ。
プロヒーローや友達が…切島くんが居るんだ。
とは思うものの…
『(………切島くん…)』
心の中で切島くんの名前を呟いたその時。
「…絶望してはいけない」
ぽん、と肩に手を置かれた。
『先輩…』
見上げると、天喰先輩がいつもの表情で私を見つめていた。
『…先輩に元気付けられるなんて、なんか変な感じですねぇ』
「ひどい…」
おっと、あまり意地悪言うと天喰先輩が泣いちゃうのでこの辺でやめておこう。
『…でも、そうですよね。ありがとうございます先輩!』
天喰先輩だって命懸けで戦ったんだ。
怖いだ何だと言ってられない。
『行きましょう…!』
無理矢理恐怖心を掻き消し、私達は奥の路へと進んで行った。