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『ハァ、ハァ………、ん…?』
目的地の方向へ向かってしばらく駆けていると、見慣れた姿を発見した。
あれは…
『先輩…!?』
地面に倒れている天喰先輩だった。
「彼は…先程分断された時、下に落とされた子じゃ…」
警察官の方々も混乱しているようだ。
目的地に向かって走っていたつもりだったけれど、実際は同じ所をループしていただけなのだろうか?
私達はいつの間にか下階へ落とされていたのか?
脳内に様々な疑問が思い浮かぶ。
いや、今はそれより…!
『先輩!!』
私は倒れている天喰先輩の元へ駆け寄った。
初めての校外活動で先輩が左腕を撃たれた時と同じように、私は天喰先輩の身体を抱く。
痣や打撲傷も気になるけれど、何より出血量が多過ぎる。
『(戦ったんだ…!天喰先輩が…!)』
私はちらりと部屋の隅を見遣る。
『(一人で…!!)』
そこには構成員が三人、タコの足で縛られた状態で気を失っていた。
「ヤクザ達だ!意識はあるのか!?」
「意識は…ないみたいだ!手錠を掛けておこう」
「こっちに路が続いているぞ!」
警察官の方々が散らばり、各自の判断で動いている。
そんな中、私は血塗れの天喰先輩から目が離せなかった。
『…』
凄いなぁ天喰先輩は。
頑張ったんだなぁ。
『………うぅ、』
なぜだか分からないけれど、涙が溢れそうになった。
先輩が命懸けで戦っていた中、自分は何も出来なかったこと。
身近な人物が血塗れになっているのを恐ろしく感じたこと。
ヒーローやクラスメイトのみんなは無事なのかどうか。
悔しさ、情けなさ、不甲斐無い気持ち。
色んな感情がごちゃごちゃになって、私の視界は涙でいっぱいになってしまった。
…けれど。
『…"救出優先"…!』
爆豪くん奪還作戦の際に、身体を張って私達を守ってくれたMt.レディの言葉を思い出す。
そうだ、今はごちゃごちゃ考えてる場合じゃない。
目の前に怪我人が居るんだ、手当てを優先しなきゃ。
『…』
私はゴシゴシと目元の涙を拭い、再び天喰先輩の身体を抱いた。
自分の手や戦闘服が彼の血に染まるが、全く気にならなかった。
『ふぅっ…!!』
私は翳した手に力を込めた。