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「来た路を戻ろう!」
「とっくに変形してるよバカ!」
「じゃあどうしろってんだ!?」
動揺と焦りからか、警察官の方々が言い争い始めた。
だめだ、この雰囲気は良くないぞ。
なんとかしなきゃ。
『あ、あの…!』
言い争っている警察官の方々に声を掛けるが、誰にも気付かれていない様子。
確かに大の大人からすれば、こんなピンチな状況なのに学生の声に耳を傾けようなんて思わないかもしれない。
『(でも本当にそれどころじゃないんだって…!なんとかしなきゃ、なのに…!)』
私が拳を握り締めていると、一人の警察官が私の肩に手を置いた。
「何か考えがあるのかい?」
『あ、貴方は…さっきの…』
ここに突入する前に、玄関前で回復させた警察官の人だ。
「みんな!聞いてくれないか!」
「「「?」」」
流石男の人だ。
私より何倍も大きな声を出してくれたおかげで、警察官の方々がこちらに注目してくれた。
「さ、続けて」
『あ、ありがとうございます…!』
警察官の人がニコリと微笑んでくれている。
その隣で私は口を開いた。
『みなさん…聞いてください』
動揺している警察官の方々に、私は声を張り上げた。
『ヒーロー達と分断された今、私達は戦力的にかなり危ないです!その上、私の"個性"は"回復"…戦闘には不向きです』
"生意気なヤツ"なんて思われるかもしれないけれど。
『だからもしここにヤクザ達が現れたら…その時は、銃を持つ皆さんが頼りなんです!今は結託しましょう、この時間ロスがもう既にヤツ等の思うツボですよ!』
私がそう言い切ると、警察官の方々は言い争いをやめた。
「まぁ、確かに…」
「取り乱しちまったな…」
眉を下げて申し訳無さそうにしている。
分かってくれたなら良いや。
「でもお嬢さん…前も後ろも路は無いこの状態、このままじゃ俺達何も出来ないよ」
『…何も出来ないなんてことないです。"入中"の"個性"はモノに入り自由自在に操れる"擬態"…まさしく目の前の"コレ"な訳ですが…』
私はうねうねとうねり続ける空間をちらりと見遣った。
『ヒーロー達や刑事さんの話の中では、"普段は冷蔵庫程の大きさのモノになら入れるけれど、今回はキツめにクスリを使って生き迷宮になっている"とのことでした…つまり』
「?」
『"入中"の操れる範囲は限られてると思うんです…!制限があるから、クスリを使う必要があった』
「なるほど…!」
「まぁ制限無しの"個性"なんて早々無いだろうけどな」
警察官の方々に私は頷く。
『範囲の制限がある中で、私達の目の前の路が蠢いている…ということは』
「下階に落ちたヒーロー達の元まで"入中"の"個性"が及んでいる可能性は…ないこともない…!」
『そういうことです』
凄く自分に都合の良い考え方かもしれないけれど、この可能性も無い訳では無いから。
『私達がこのまま"入中"を引き付けておけば、地下階に落ちたヒーロー達はスムーズに目的地へ辿り着ける!』
「ここまで来ると、やるべきことは一つ…」
警察官の方々と私は顔を見合わせた。
『"入中"の気を私達が引き付けること…!!』
"入中"をこの場に留めておくことが出来れば、ヒーロー達が動きやすくなるのだ。
エリちゃんの元へ一刻も早く、私達ヒーローや警察側の人間が到着する必要がある。
「そうと決まれば話は早い!」
『行きましょう…!』
私は若干の吐き気を胸に、足を進めた。