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午前8時、警察署前にて。
この数日の間に、サー・ナイトアイが八斎會の構成員を発見しその後を"見た"のだと言う。
結果、八斎會邸宅には届出の無い入り組んだ地下施設が存在し、その中の一室に今回の目的であるエリちゃんが匿われているらしい。
「しかし目指すにしても"個性"を駆使されれば捜索は難航する…そこで、分かる範囲だが八斎會の登録個性をリストアップしておいた。頭に入れといてくれ!」
「こういうのパッと出せるって良いよな」
私の元にも一枚の書類が回ってくる。
『これが…奴等の"個性"…』
音本:"真実吐き"…彼の問いかけに対し強制的に本心を語らせる
窃野:"窃盗"…人が身に着けているモノに限り瞬時に手元へ移動させる
酒木:"泥酔"…近くに居る者の平衡感覚を奪う
『(まだまだありそう…何十人居るんだろ…)』
全て頭に入れるのは大変そうだ。
「隠蔽の時間を与えぬためにも全構成員の確認 捕捉等、可能な限り迅速に行いたい」
「決まったら早いスね!」
「君、朝から元気だな…」
「緊張してきた」
『私はまだまだ寝れる…』
うん、睡眠時間はいくら取っても悪いものじゃないよね。
"個性"上、いっぱい寝とかなきゃだし。
今から少女の保護に赴くというのに、私はなんとなく冷静で居ることが出来た。
周りのプロヒーローがみんな落ち着いているからだろうか。
「プロ、みんな落ち着いてんな!慣れか!」
「みんな…グラントリノが居ないよ…どうしたんだろ」
『あ、ちっちゃいおじいさん?確かに…居ないなぁ…?』
どこか呆けた様子の緑谷くん。
私もキョロキョロと辺りを見回してみるけれど、グラントリノは見当たらなかった。
するとそんな私達にサー・ナイトアイが声を掛けてくる。
「あの人は来れなくなったそうだ」
「え…」
「塚内が行ってる連合の件に大きな動きがあったみたいでな…悔しそうだったよ。だがまァこちらも人手は充分、支障は無い」
「そっか…」
どこか寂しげな様子の緑谷くんに、切島くんが話し掛ける。
「八斎會と敵連合、一気に捕まったりしてな」
「それだ!」
『だと良いねぇ』
私は切島くんの言葉に、へらっと笑った。
「っし…!!」
「おい」
「あいっイレイザーヘッド!」
意気込む緑谷くんに相澤先生が呼び掛ける。
「俺はナイトアイ事務所と動く。意味分かるな?」
「はい…!」
「ヒーロー、多少手荒になっても構わない」
刑事さんが話し始めると、周りのみんなはピタッと話すのをやめた。
決行の時は、すぐそこだ。
「少しでも怪しい素振りや反抗の意志が見えたらすぐ対応を頼むよ!」
「環コレ食うとき」
「?」
私の隣に居るファットガムが真剣な表情で天喰先輩に差し出したもの。
それは…
「カジキ」
「『何でカジキ』」
先輩と私は揃ってツッコむ。
いやまぁ、でも強そうだしね、カジキ。
「頂いておきます」
天喰先輩はファットガムからカジキを受け取っていた。
この場でどうやって食べるんだそれ。
まぁ…そこは天喰先輩に任せておこう。
「相手は仮にも今日まで生き延びた極道者。くれぐれも気を緩めずに各員の仕事を全うしてほしい!」
『(各員の仕事、か…)』
相澤先生が以前言っていた通り、私なんかに出来ることは少ないかもしれない。
けれど私の力を使うことで、少しでもエリちゃんを救うことに近付けるなら。
「出動!!」
惜しむことなく、この力を使っていきたい。
私は気を引き締め直した。
(どうかエリちゃんが無事で居ますように)