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『…切島くん?』
ふと空を見上げる。
あの後プロヒーローや警察と協力して避難誘導を終え、犯罪者の仲間も捕らえることが出来たため少し気を緩めた途端…
なんとなく切島くんの姿が頭を過ぎったのだ。
『(…大、丈夫…だよね…?)』
「お陰様で助かりました!」
『あっ…はい…』
目の前に居る警察官の声で、ハッと我に返る。
「コイツ等は違法薬物や裏アイテムの売人チームで我々も機会伺ってたんです」
『薬物…!?ってことは…』
私は天喰先輩の左腕を見遣る。
「…俺の"個性"が発動出来ないのは…じゃあ…"商品"の一つか…?」
天喰先輩は静かに、捕まった男達に問うた。
「…死ねボケカス」
「…」
『先輩を甚振るのやめてください!』
「その言い方も酷い…」
相手の罵声をモロに精神的に受け、壁に頭をくっつけ落ち込む天喰先輩。
私は先輩の背中を撫でた。
『そっか…じゃあ天喰先輩を撃った銃は、殺傷能力のある物じゃなかったんですね』
私はほっと胸を撫で下ろした。
麻酔銃的な感じだろうか。
「そんな所です。まァ後は我々に任しといてください」
『ありがとうございます、よろしくお願いします』
私は警察官の方々に頭を下げた。
***
救急車やパトカーのサイレンの音が鳴り響いている。
ファットガムと切島くんが逃走犯を捕獲し、私達の元へと戻って来た。
…が。
『ファットガム!…と、切島くん…!?』
「おう!」
こちらに向かって手を挙げる切島くんの身体はボロボロだった。
戦闘服も破れ、壊れ、セットした髪も崩れている。
全身切り傷だらけだ。
『…っ』
"すぐ回復させるから!"とか"何でこんなことに"とか…
色々言いたいことはあるけれど。
『…頑張ってくれたんだね…切島くん』
なんとなく、どこかスッキリした表情の切島くんを見ていると、私はそれしか言えなかった。
「!…あぁ!!」
切島くんはニカッと笑ってくれた。
次にファットガムが口を開く。
「"個性"がパワーアップか…そのクスリは日本じゃ禁止されとるヤツやな…効果の短さから見てアジア系の粗悪品や。アメリカ製なら一~二時間は効く」
「詳しいンスね!すげぇ!」
「俺昔はポリと協力してそういうんばっか捕まえとったんやで」
『凶悪犯の取り締まりとか…?凄い…!』
切島くんと私は素直にファットガムに感心した。
そんな私達の元に一人の警察官が駆けて来る。
「ファット!ヤツが発砲した拳銃やけど!」
『?』
「"個性"で粉々に砕いとった!弾は無かった…!あとコレ普通のチャカやないで、とりあえず色々調べて報告するわ!」
「わざわざありがとな…そうか…」
ビニール袋を見せられ、ファットガムは何やら考え込む仕草を見せる。
その隣で切島くんが天喰先輩に話し掛けた。
「先輩は大丈夫なんスか?」
「…辛い」
「…"個性"が出ねぇなんて…ヒーローにひでぇ仕打ちだ」
『うん…』
私達は天喰先輩の左腕を見た。
「それより…切島くんは俺を庇ってくれた…カフェさんは俺を救けてくれた…。ミリオと同じ…太陽のように輝かしい人間だ君達は…」
俯く天喰先輩に、切島くんと私はきょとんとする。
「んなこと言ったらここ紹介してくれた先輩も太陽っスよ」
『天喰先輩が紹介してくれなかったら、こんな体験出来ませんでしたもん』
「それだよ…凄いんだよ君達…」
三人で話す私達を見て、ファットガムは再度口を開いた。
「病院で検査してもらおか、俺も調べたいことあるしな!とりあえず一旦事務所経由で…」
『はい!』
「…ハイ」
「オス!」
私達はファットガムに返事をした。
こうして、初めての校外活動は終了したのだった。