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天喰先輩と私は、大きなゴミ袋を片手ずつ持ってゴミ置き場まで向かっている。
一つの袋を二人で持っている状態だ。
仲良しか。
『実は校外活動のことで悩みがあって…』
「えぇぇ…悩み相談とか受け付けてないんだけど…無理…」
『あのですね…』
「聞いてる?」
偉大なビッグ3の先輩が隣に居るんだ、彼に話さず誰に話せと言うのだ。
『この前の校外活動のお話の時…特にミリオ先輩が、その経験を身をもって教えてくれたあの時。先輩方を見て、私も絶対参加したいと思ったんです。校外活動』
「…うん」
天喰先輩は私の話を聞いてくれる気になったようだ。
小さく相槌をうってくれているのが分かる。
『でも…受け入れ先が見付からないんです…』
それを聞いた天喰先輩は、うぅーんと唸った。
「…体育祭の指名は…?校外活動先は職場体験と同じ事務所でも良いと思うけど…」
『体育祭で指名を受けて職場体験に至ったのは、ベストジーニストのジーニアス事務所だけなんです。けど彼は今…』
「(No.4ヒーロー ベストジーニストから指名を…!?え…何それ凄…)…無期限活動休止…か…」
私はコクンと頷いた。
「でもNo.4ヒーローから指名貰えるくらいなら、他からも指名来てるでしょ…?」
『それが、私の"個性"は…』
私は天喰先輩に話した。
私の"個性"のこと…
指名を貰えた中でもジーニアス事務所以外の事務所は校外活動を受け付けていないこと…
病院や救急医療の施設とコネクションが無いこと…
『…という訳なんです。天喰先輩はどうやって校外活動先を選んだんですか?』
「どうもこうも…俺は体験先からの指名で…」
『…ウフフフ良いですねぇ羨ましい限りです』
「何その乾いた笑い、怖い…!」
話している内にゴミ置き場に到着し、所定の位置に袋を置く。
『そこで先輩に折り入ってお願いがございましてぇ~~~…』
「……………何…」
天喰先輩はちらりとこちらを見遣る。
なんか"間"があったけど。
『…』
私は天喰先輩に頭を下げた。
『校外活動先を紹介してください!!』
「なっ…え、ウチ…!?」
天喰先輩は驚いている様子。
無理を言っているのは重々承知の上だ。
でももう、これしか思い浮かばなかった。
他に案が無いなら、潔くお願いするしかない。
『天喰先輩と同じ所じゃなくても構いません!地域や場所も問いません!だからお願いします!人救けだと思って!』
「え…ちょっと待って…!紹介とか俺分かんないし…」
『私も先輩方みたいに…経験を積みたいんです…!』
私は強くない。
だからもっともっとたくさんの経験を経て、進化しなければならない。
『お願いします…!!』
私はぎゅっと目を瞑った。
「…」
『…』
「わ、分かった…」
『…えっ』
頭上から小さな声が聞こえて、私は思わず顔を上げた。
「そこまで言われたら断れないし…事務所の人に聞いてみるくらいなら…」
『!…良いんですか!?』
身を乗り出す私に、天喰先輩は少し仰け反りながらも小さく頷いてくれた。
「でも受け入れてくれるかまだ分かんないし…!期待はしないで…あと距離が近い…」
『それでも大丈夫です!ありがとうございます、天喰先輩…!』
なんと天喰先輩が、彼の校外活動先を紹介出来るかどうか聞いてくれることになった。
「とりあえず聞いてみる…返事は俺がそっちの教室まで言いに行けば良いかな…あ、でも俺一人で一年の教室まで行くと絶対浮くし…怖い…」
『先輩にそこまでさせられませんよ!あ、先輩さえ良ければ連絡先教えてもらえませんか?』
「あ、うん…」
天喰先輩と私は連絡先を交換し合った。
天喰先輩の校外活動先から返事がもらえたら、連絡をくれるらしい。
『今度ハンカチのお礼もさせてくださいね』
「大したことしてないし、良いよ…?」
『そんなことないです!』
私はウエストポーチから再度、袋に入ったハンカチを取り出す。
そしてそれを差し出すと、今度は受け取ってくれた。
話している内に、三年棟まで戻って来ていたらしい。
「それじゃ…」
『はい!ありがとうございました!』
天喰先輩と別れた私は、明るい気持ちでランニングを再開した。
そしてその日の夕方、早速天喰先輩からメッセージが来たのだ。
"自分の校外活動先が、君を受け入れてくれることになった"と。