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あ、あのツンツン頭に尖った耳は…
天喰先輩だ!
都合良く現れてくださった!
天喰先輩はこれまたゴミ袋を抱えている。
『天喰先輩!』
「!」
ビクッと肩を震わせた後、天喰先輩はこちらを見た。
この前のように、ビビって話すことが出来ない状態ではなさそうだ。
「…えっと、君は確か…」
『1-Aのカフェモカです!この前はありがとうございました!』
そう言いながら私は天喰先輩の元へ歩み寄る。
「あぁ、あれはミリオがやったことだから…俺は何もしてないし…」
『校外活動のお話の件もですけど。あの、これ』
私はウエストポーチから袋に入ったハンカチを取り出した。
「あれ…俺の…?」
『先輩は覚えてないかもしれませんけど…いつかの登校中、雨の中転んじゃった私に、先輩がこのハンカチ貸してくれたんです』
「………あぁ!確かに居た…!全身泥だらけの子…」
天喰先輩はあの時のことを思い出してくれたようで、少し顔を明るくさせた。
「誰か分からなかった…あの時の顔泥だらけだったし」
『忘れてください』
この歳で雨の中滑って転ぶというのだけでも恥ずかしいのだから、もう是非とも忘れて頂きたい。
ていうかそんなに泥付いてたんだ私、あの時はタオルでパパッと拭いちゃったから分かんなかった。
『あの時は救けてくれてありがとうございました!嬉しかったです』
へへへと笑えば、天喰先輩は頷いてくれた。
そしてそれに続いて、天喰先輩は差し出されたハンカチを受け取ってくれ…なかった。
『…え?』
「いやちょっと今は待って…ゴミ捨ててからで良い?受け取りたくても受け取れない。俺今両手塞がってるから」
『空気読まずすみません』
若干語尾を強めて言われてしまった。
失敬失敬。
私は一度出したハンカチをウエストポーチに引っ込めた。
「じゃ…すぐ捨ててくるから、少し待ってて…」
私が返事をする前に、天喰先輩はゴミ置き場の方へと足を進めた。
『…』
「…」
『…』
「…何で着いてくるの…」
天喰先輩はチラリとこちらを振り返る。
まぁただ待ってるだけってのも面白くないし、何より…
『校外活動のお話、まだ聞きたいことがあって…』
私は勝手に天喰先輩と足並みを揃えて歩いた。