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「…」
『…』
どれくらいそうしていただろうか?
私にのしかかっていた爆豪くんの背中を撫でている内に、爆豪くんはいつの間にか眠ってしまったようだ。
「…」
『…』
…あの爆豪くんがこうやって無防備に寝顔を晒している。
それ程、気を許してくれたのだと考えれば非常に嬉しい。
けれどそれはつまり、爆豪くんの全体重が私に掛かっているということで…
『(お、重いぃっ…!!)』
めちゃめちゃ重いのだ。
爆豪くんのゴツい胸筋が、私の胸(というか肺)を圧迫している。
ただでさえ彼は筋肉マンなのに、この体勢のせいで私は潰れてしまいそうだ。
『(とりあえず起きてもらわないと…ちょっと本気で死ぬっ…!)』
少し首を撚ると、私のすぐ近くに爆豪くんの顔があり、不覚にも少しドキッとしてしまった。
よく見ると綺麗な顔立ちをしている。
いつも皺だらけの眉間は、今は真っ平らだ。
少し幼い印象である。
『…』
こうして見ていると、あのヘドロ事件や体育祭で一位を獲った、有名人の爆豪くんには見えない。
ほんとに普通の男子高校生だ。
『…』
爆豪くんの目元には、涙の乾いた跡が残っていた。
『(今になって神野の件を聞いてきたってことは…私達が救けに行ったこと、やっぱり気にしてたんだ。一番怖かったのは…悔しかったのは、爆豪くんだっただろうに)』
私は爆豪くんの背中を撫でる。
『…よしよし…』
私の上で眠っている爆豪くんの背中を撫でながら私は呟いた。
…たまに思うことがある。
爆豪くんを見ていると、なんだかとても切なくなるのだ。
もちろん、恋焦がれているとかそう言った意味ではない。
彼の醸し出す、憎悪や苛立ちを含んだ声や顔を見ていると、なんとなく傍で見守っておかなきゃなぁと思う。
たぶん切島くんも同じことを思っているだろう。
爆豪くんから目が離せなくなるのだ。
『…』
守ってあげたいと言える程私は強くないし、爆豪くんは弱くないけれど。
『友達として…くらいは、頼ってほしかった…な…』
こうやって、限界に達してしまう前に。
頼りないのは分かっているけれど。
『………すぅ』
私はそのまま眠りについた。
「………チッ…調子乗ってんじゃねェぞ、カフェのくせに…」
爆豪くんが私に舌打ちをしていたことなど、知る由もなかった。