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あの後すぐに爆豪くんの後を追い、私は彼と共にエレベーターに乗り込んだ。
ゴゥンとエレベーターの駆動音だけが聞こえてくる。
「…」
『…』
私達の間には特に何の会話も無い。
『(…あれ?私、これほんとに着いて来て良かったのかな…!?)』
さっき、なんとなく爆豪くんを一人にしてはいけない気がしたのは確かなんだけれど…
着いて行っても何かしてあげられる訳でもないだろうし。
話を聞くくらいなら出来そうだけど、爆豪くんは人に相談事をするタイプじゃなさそうだし。
『うーん…?』
《ドアが閉まります》
気が付くといつの間にか4階に到着しており、私はドアが閉まる前に慌ててエレベーターを降りた。
いつの間にかエレベーターを降りていた爆豪くんは、私の少し先を歩いている。
『(やっぱり酷い怪我…)』
廊下の電気に晒された爆豪くんの身体は、思っていたよりも傷だらけだった。
所々包帯が巻いてあったり、もう既に手当てはされてあるみたいだけれど。
『…』
切島くんの部屋の前を通り過ぎる。
そしてその隣の爆豪くんの部屋の前までやって来た。
「…」
爆豪くんは黙って部屋の中へ入って行く。
『(ここまで着いて来て何も言わないってことは…は、入って良いんだよね…?)』
爆豪くんの部屋に来るのは初めてで、なんだか少し緊張する。
『お邪魔しま~す…』
そろりと扉から顔を覗かせ、部屋に入った。
おぉ、シンプルで落ち着いた部屋だ。
私の部屋と少しだけ雰囲気が似ている気がする。
ほとんど散らかっていない整った部屋に、私は少し感動した。
『わ~、爆豪くんの部屋オシャレだね!格好良いね』
「…なんで来た」
爆豪くんはこちらに背を向け、窓の外を見て佇んでいた。
部屋の話題はスルーされてしまったが仕方無い。
『友達を心配すんのに、理由とか要るかな?』
私がそう言うと爆豪くんはピクッと反応した。
そしていつもの仏頂面でこちらへと振り返る。
「チッ…切島みてェなこと言いやがって」
爆豪くんのセリフを聞いて、私は内心で"確かに"と苦笑した。
もし切島くんがこの場に居たらきっと言っていただろう。
"ダチを心配すんのに、理由が必要か?"
って。
「とりあえずそこ座れや」
『あ、うん。ありがと』
顎でベッドを指され、私は爆豪くんのベッドに腰を下ろす。
そんな私に続いて爆豪くんも私の隣に腰掛けた。
隣と言っても少し距離はあるけれど。
「…」
『…』
隣に居る爆豪くんからは湿布や薬のにおいがする。
『(爆豪くんに回復を…)』
ちらりと爆豪くんに目を遣る。
すると…
「おい、余計な真似すんなよ…勝手しやがったらブッ殺すからな…!!」
『お、おぉうっ…!?』
キッと睨み付けられ、私はビクッと肩を震わせた。
『爆豪くんってさぁ、勘良いよね…』
「あァ?アホの考えてることなんざお見通しなんだよ」
回復させようと目論んでいたことが爆豪くんにバレ、更に勝手なことはするなと釘を刺されれば、私は引き下がるしかなかった。
『回復の"個性"持ちとしてはさ、その傷が気になるんだけど…』
「は?テメェに心配される程ヤワじゃねェわ、ナメんな」
『ナメてないナメてない』
何を言っても爆豪くんは眉間の皺を増やすばかりで、私は思わず苦笑する。
「…」
『…』
そして沈黙が続いたかと思えば。
「…デクと喧嘩した」
爆豪くんはケッと吐き捨てるようにそう言った。