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『ん…』
ふと、真夜中に目が覚めた。
『(あれ、私寝ちゃってた…?お風呂入んなきゃ…)』
私はもぞもぞとベッドを抜け出し、入浴セットを持ってお風呂のある共同スペースへと足を進めた。
今日は朝からハードだったからいつの間にか眠ってしまっていたようだ。
『(そういえば…仮免…取れたんだよね…!)』
思わず緩んでしまう頬をなんとかおさえ、お風呂場に着いた私は服を脱ぐ。
『(これでやっと…セミプロになれたんだ)』
私は喜びを噛み締めた。
けれど、少し思うことがある。
『(切島くんや爆豪くん、上鳴くん…更には肉倉先輩。みんなが私を"守って"くれたから…合格出来た)』
もしもあの時…
爆豪くんが私を押し退けていなかったら。
肉倉先輩に丸め込まれていたら。
一人ぼっちだったら。
『(………私一人じゃ…きっと…)』
そこまで考えて、ハッとする。
一人の時は少しマイナス思考になりがちだ。
『(もしもの話なんて考えても仕方無いのにね)』
私は一人苦笑した。
お風呂場で全身を洗い、湯船に浸かる。
今日一日の疲れが滲み出ていくようだ。
『(気ぃ張ってたからかな~…気持ちい…)』
いつもはみんなと同じような時間にお風呂に入ることが多いんだけれど、たまには一人でゆっくりするのも良いなぁなんて思う。
『…』
私は、試験終了時の目良さんの言葉を思い出していた。
"オールマイトが力尽き、敵は必ず増長します"
"次は自分達がオールマイトのように、ヒーローとして規範となり、抑制出来るような存在とならねばなりません"
『("ヒーローとして規範となり、抑制出来るような存在"かぁ…)』
私はどちらかと言えば、リカバリーガールや13号先生のようなヒーローに憧れていた。
リカバリーガールは看護教諭として、これからヒーローとなる者達を支えたり、各病院を回ったりしている。
13号先生は災害救助の場で活躍している。
そして、オールマイトは存在自体が"平和の象徴"。
あとは、職場体験でお世話になったベストジーニスト…彼のことはとても尊敬している。
『…』
たくさんの経験を経て、自分の"なりたいもの"の像が、少しずつハッキリしてきたかもしれない。
今まで私は、ただ漠然と"人を救けたい"と思っていた。
でもそれだけじゃダメなんだ。
『…』
USJで…職場体験先で…それぞれ死柄木弔に会った時、私は"救けて"と何度も願った。
私と同じような思いをする人が現れないのが一番良いけれど…
このヒーロー飽和社会に於いて、"犯罪をゼロにする"なんていうのは夢でしかない…と思う。
"ピンチ"は無くならない。
だったら、"ピンチ"に陥った人を救けられるようになりたい。
『(USJの時も、職場体験の時も…あの時…私は…)』
"や…ぁ…息が…っ"
"どうしようどうしよう、どうしたら良い?"
"誰か…っ"
『(私は、"誰かに救けに来て欲しかった")』
だから今度は私がそうなれるように。
ピンチの場に駆け付けて、その場で人を救い、回復させてあげられるように。
『("なりたい"じゃなくて…"なる"!)』
災害救助の場で活躍する13号先生のように、その場に赴き人を救ける…
そんなヒーローが、一番目標に近いと言える。
私は自分の"原点となるもの"を強く思い返した。