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「「『…』」」
ちょっと待って欲しい、急展開過ぎて思考が追い付かない。
コクれた?
コクレタ?
コクレタって何だ、え、ほんとに何だ。
「肉倉先輩、雄英体育祭見てからずっとカフェさんカフェさん言ってたじゃないッスか!今話しとかないと勿体無いッスよ!?」
夜嵐くんの大きな声が辺りに響く。
「え、モカ?肉倉先輩って誰…!?まさか他校に男が…!?」
「うっそ、お相手は切島じゃねェの!?」
クラスのみんながザワつき始めるが、夜嵐くんは構わず肉倉先輩に熱く語り掛けた。
「先輩!連絡先とか聞かなくて良いんスか!?目の前にあのカフェさんが居るんスよ!?」
「なになに、どゆこと夜嵐ー!?」
三奈ちゃんが夜嵐くんに話し掛けるのが聞こえてくる。
「肉倉先輩は雄英体育祭でカフェさんを見て一目惚れ゙ッッッ」
「「『!?』」」
言い切る前に、夜嵐くんは肉塊に捕らわれてふっ飛んで行った。
「イナサァアア…??」
「肉倉先輩!?何で怒って…!?」
肉倉先輩と夜嵐くんは何やら軽く揉めているようだ。
その間にも、雄英のみんなは切島くんと私を交互に見る。
「今だ切島!一言言ったれ!」
「"コイツは俺の女だ!"って言ったれ!」
「は…はぁ…!?」
丸聞こえなんだけど。
上鳴くんと瀬呂くんが切島くんを小突いて話している声がとても良く聞こえてくる。
絶対隠す気ないよね。
『(うわぁ…なんか勝手に気まずいな~…)』
「…」
そして切島くんが顔を上げ、一言言わんばかりに足を踏み出した…
かと思えば。
「退けやコラ」
『わっ…』
意外なタイミングで、爆豪くんがグイッと私の肩を押し退けた。
爆豪くんはそのまま私の視線の先に居た、肉倉先輩と夜嵐くんの方へと歩いていく。
その先には私達がこれから乗る、バスが停まっている。
そして爆豪くんと肉倉先輩のすれ違いざま…
二人の肩がドンッとぶつかった。
「なっ!…爆豪、貴様…」
「チッ!…退いてくださいよォ、先パイ」
爆豪くんは肉倉先輩にガンを飛ばしている。
なんかわざと爆豪くんから先輩にぶつかりに行ったようにも見えたけどな…。
「"邪魔"なんスよ、ンなとこに突っ立ってられっと」
「…全くの詭弁だな?」
一触即発の雰囲気が辺りを覆う。
あぁ、早く止めなきゃだ。
『ちょ、待ちなよ爆豪く…』
「お前等、何してる」
「「『相澤先生!』」」
後ろから相澤先生の声が掛かり、私達は思わず姿勢を正した。
「速やかにバスに戻れと指示を出したはずだが?」
「「『スミマセン!!』」」
相澤先生の放つオーラが怖過ぎて、みんなはそそくさとバスの方へと歩き始めた。
「肉倉!夜嵐!」
少し離れた所で、士傑の"毛の人"も二人を呼んでいる。
「す、すんまっせーん!すぐ行きます!では!雄英の皆さん!また会いましょう!!」
夜嵐くんは文字通り嵐の如く去って行った。
「ま、待てイナサ…!」
『あの、肉倉先輩』
夜嵐くんを追おうとした肉倉先輩を呼び止める。
「…何か?」
肉倉先輩はどこか気まずそうにしていた。
うん、私だって色々相まって気まずいし恥ずかしい。
でもこれだけは言っておかなくちゃ。
『殴ってしまって…ごめんなさい。でも、後悔はしてません』
「!」
"粗野で徒者のままヒーローを志す諸君等との水準差"
そう言って切島くんを踏み付け、仲間が卑下されたのだ。
彼には彼の"正義"の考え方があるのだろうけれど、こちらにもこちらの考え方がある。
だから、彼を殴ったことを私は省みたりしない。
出来れば、もう二度と人の顔を殴り付けるようなことはしたくないけど…。
『それだけです。すみません引き止めてしまって…』
「おーい!」
私が肉倉先輩に頭を下げると、切島くんが私を呼ぶ声がした。
「モカ~、置いてかれっぞ!」
『あ、今行く~!…それじゃ!』
私は肉倉先輩にぺこりと一礼し、バスへと向かった。
「…」
肉倉先輩が無言で私の背中を眺めていたとは知らずに。
(どうした肉倉、機嫌良いな)
(試験落ちたくせに?)
(………フン)