19
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「…お、士傑こっち来てんぞ」
「ん?」
パンを食べながらそう言う切島くんの声に、私の左隣に立つ爆豪くんが反応した。
『(あ、ぷっくり唇の美人さんも居る!何回見ても綺麗~…!)』
「…爆豪くんよ」
「あ?」
「肉倉…糸目の男が、君の所に来なかった?」
私の目の前に立っている人はなんていうか…
毛が凄い。
背もめっちゃ高くてでかい…
なんか、マスコットキャラクターみたいで可愛いかも…!
「(毛、凄ェ)」
「あぁ…ノした」
「やはり…!」
「『?』」
ハァと溜め息をつく毛むくじゃらの人に、切島くんと私は小首を傾げた。
「色々無礼を働いたと思う。気を悪くしたろう…あれは自分の価値基準を押し付ける節があってね…何かと有名な君を見て暴走してしまった」
『(確かに、そんな感じだったな…)』
私は肉倉先輩の姿を思い出しながら、もぐもぐとパンを頬張った。
肉倉先輩は結局試験に落ちてしまったのだろうか…
この場には居ない。
「そして、カフェさん」
『ひぇっ!?わ、私ですか…!?』
まさか私に話が振られるとは思っておらず、変な声が出てしまう。
「君自身は肉倉に、悪いようにはされなかった?」
『悪いように…?』
曖昧な言い方をされ、私は困惑する。
爆豪くんや上鳴くんを馬鹿にしたり、切島くんを踏み付けたり、勝手な自己解釈をされたり、腹が立つことはたくさんあった。
けれど…
『私自身へは…なかった、です』
そう、私自身を悪いようにはされなかった。
私を馬鹿にすることも、傷一つ付けることもせず、爆撃や放電から守ってくれた。
むしろ私が殴ったわ。
「そうか…」
『…?』
「雄英とは良い関係を築き上げていきたい。すまなかったね」
質問する間もなく、話を締め括られてしまう。
「良い関係…!?」
「良い関係…とてもそんな感じではなかった…!」
「それでは」
『あ…うーん、まぁいっか…』
踵を返す士傑の生徒達。
その背中に轟くんが声を掛ける。
「おい、坊主のヤツ…俺何かしたか?」
「…ほホゥ」
坊主の人…確か相澤先生は夜嵐イナサって言ってたっけ。
夜嵐くんはピタリと動きを止めたが、あまり良い顔はしていない。
「いやァ申し訳無いッスけど、エンデヴァーの息子さん…」
「…」
「俺はアンタ等が嫌いだ。あの時よりいくらか雰囲気変わったみたいスけど、アンタの目はエンデヴァーと同じッス」
わざわざ"エンデヴァーの息子さん"と回りくどい言い方をした夜嵐くんの表情は、怒りや憎悪に満ちていた。
「夜嵐、どうした?」
「何でも無いッス!」
「…親父の…目?」
「『(轟くん…?)』」
何かを考え込む轟くんの姿を眺めていると、士傑の生徒達は去って行った。
ジリリリリリ…
「『ん?』」
私はパンを食べながら、切島くんはいつの間にか骨付き肉を食べながら、それぞれ顔を上げる。
《「敵による大規模破壊(テロ)が発生!規模は○○市全域!建物倒壊により傷病者多数!」》
「演習の想定内容ね…!」
「え!?じゃあ…」
「始まりね!」
《「道路の損壊が激しく救急先着隊の到着に著しい遅れ!」》
アナウンスが流れながら、先ほどと同じように会場が展開していく。
「また開くシステム!?」
《「到着するまでの救助活動は、その場に居るヒーロー達が指揮を取り行う。一人でも多くの命を救い出すこと。それでは…スタート!」》
みんなは展開終了と同時に走り出した。
私も遅れを取らないように走り出す。
「とりあえず一番近くの都市部ゾーンへ行こう!なるべくチームで動くぞ!」
「「「おう!」」」
飯田くんの声にクラスメイトみんなが返事をしたかと思えば…
「!…爆豪、また…!?」
三奈ちゃんが、列を離れる爆豪くんを見て言った。
そしてそんな爆豪くんは舌打ちをしながらこちらを振り返る。
「チッ!何で着いて来んだこのクソモブ共!!」
「「『なんとなく!』」」
上鳴くん、切島くん、そして私の三人は声を揃えて爆豪くんに答えた。