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『うぅ…』
目の前がチカチカする。
私は肉倉先輩諸共、上鳴くんの放電を全身に浴びた…はずなのだけれど。
思っていたよりも衝撃は少なかった。
『…?』
私があまりダメージを受けなかったのにはいくつか理由がある。
上鳴くんが出来るだけ私に電撃を当てないよう調整してくれたこと。
肉倉先輩の肉塊が、ある程度の防御壁になってくれたこと。
そして、合宿訓練の際に上鳴くんと共に電気を浴び続けていたことで、電気に多少の耐性がついていたらしいこと。
「チッ…!」
肉倉先輩は地に膝を付く。
すると私を捕らえる肉塊の力が緩み、私はその隙を見逃さなかった。
無理矢理身体を捻って、なんとか肉塊から逃げ出したのだ。
「カフェ!大丈夫か!?」
『上鳴くん…!』
言葉を交わしながら私は上鳴くんの傍へと駆け寄った。
『うん、思ってたより全然平気!』
「それはそれでショックなんだけど?」
上鳴くんの隣で、私はすぐに肉倉先輩へ向き直って構えの体勢を取る。
が、上鳴くんが一歩前に出て、構える私を手で制した。
「ちょっと下がってろカフェ」
『え、でも』
「いーから。"個性"使ってちょっと休んでろ!」
『…ヤバくなる前に言ってね?』
とは言ったものの、まだ目がチカチカするのは事実。
私は大人しく数歩下がらせてもらうことにした。
私の"個性"ではこのチカチカする感覚は治せない。
「…先輩。爆豪は粗野で下水道みてーなヤツだけど、割とマジメにヒーローやろうとしてますよ!咄嗟に手榴弾くれたのも、打開のための冷静な判断じゃないスか?それに切島だって…友達のために敵地乗り込むような、バカが付くくらいイイヤツなんスよ…!」
「くっ…」
肉倉先輩はよろけながら立ち上がる。
『ん…?』
ふと、肉塊にされた切島くんと爆豪くんがムクムクと、少しずつ大きくなっているのが目に入った。
「断片的な情報だけで知った気んなって…コイツ等をディスってんじゃねぇよ!!」
「立場を自覚しろと言う話だ、馬鹿者がーッ!!」
上鳴くんと肉倉先輩が叫び、次に肉倉先輩が飛び出してくる。
『くっ…!!』
「カフェ!?」
私は咄嗟に、上鳴くんを庇う形で前へ出た。
…反射だった。
こちらに突っ込んで来た肉倉先輩と私の身体がぶつかりそうになった、その時。
『!』
私のすぐ隣から大きな拳が飛んで来て、肉倉先輩が勢い良く殴り飛ばされていったのだ。
「ぐはぁっ!!」
そして殴り飛ばされた先輩を爆撃が襲う。
目の前には、大きな背中。
「大丈夫か、モカ」
こちらを振り返り、優しく笑い掛けてくれたのは…やっぱり切島くんだった。
『切島くん…!!うん…、うん…っ!』
私は何度も頷いた。
そんな私の頭をぽんぽんと叩いてから、切島くんは上鳴くんの方へと振り返る。
「ダメージ次第で解除されちまうんか!」
「どおりで遠距離攻撃ばっかな訳だ!」
「ありがとな、上鳴!」
「遅んだよ、アホ面!」
「ひっでぇな!やっぱディスられても仕方ねーわ、お前!」
『切島くん、爆豪くん…元の姿に戻ったんだ…』
私の前に立ついつも通りの二人の姿を見て、ほっと溜め息をついた。
「モカも。俺等のために怒ってくれたんだな、サンキューな!」
「出せんなら最初から本気出せやクソが」
『いやいや、ずっと本気なんだけど?』
「あっ!つーか、後ろっ!」
上鳴くんの言葉に振り返る。
「丸く捏ねられたのはお前等だけじゃねーぞ!?」
「知ってんよ」
《「現在70名。あと30名で終わりですよ~」》
私達は構えの体勢を取った。