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「私の肉の一つ、高架下から回り込ませていたのだ。先程切島で見たであろう、その肉は触れたら終わりだ!」
「『爆豪(くん)!!』」
私を突き飛ばして救けたせいで爆豪くんが捕まってしまった。
爆豪くんは段々と丸め込まれていく。
『(うそ…!?待って、そんなっ…)』
「ッソ…!オイアホ コレ…」
「!…ん?」
丸め込まれながらも爆豪くんは上鳴くんに向かって何かを投げ、上鳴くんはそれを受け取った。
…小さめの手榴弾だ。
「情けなし、出直して来るが良い」
糸目男子がそう呟いた時には、爆豪くんは肉塊にされて地に落ちてしまった。
「うっそぉ…」
『爆豪、くん…』
…私のせいだ。
攻撃の"個性"も飛び道具も持たない私が、でしゃばってしまったから。
『…っ』
「…ちょっと下がってな、カフェ」
『んや…大丈夫。ありがとね』
いろんな感情が溢れ出そうになるが、今は切り替えていこう。
これ以上迷惑は掛けられない。
「…」
糸目男子は上鳴くんへと視線を移した。
…私の方は見ない。
相手にすらされていないのだろうか。
『(落ち着け私。どんな時でも冷静に…)』
「これは示威である。今、試験は異例の少数採用…オールマイトが引退し、時代は節目。本来であればヒーローは増員して然るべきではないか?…即ち、これ等が示唆するは有象無象の淘汰。ヒーローと言う職をより高次の物にする選別が始まったと推察する。私はそれを賛助したく、こうして諸君等を排している」
「試験そっちのけでやることスか…!?おかしーよなんかそれ…」
『(冷静に…冷静に…)』
「徒者が世に憚る方がおかしい。ちなみに、この姿でも痛覚等は正常に働く。放電は皆も傷付けるぞ、上鳴電気?」
糸目男子は言いながらニヤリと笑う。
そして、肉塊になった切島くんをグリッと踏み付けた。
『!』
それを見た瞬間。
自分の中で、何かが切れる音がした。
『………ぃで…』
「…聞こえんが?」
ぽつりと呟いた声は糸目男子には届かなかったようだ。
「え…ちょ…カフェ…?」
上鳴くんは頬を引き攣らせてこちらを見ている。
私はすぅっと大きく息を吸い込んだ。
『切島くんを踏まないでッ!!』
叫ぶと同時に私は走り出した。
同時に糸目男子は構えの体勢を取る。
「攻撃の"個性"を持たないお前が来るか、カフェモカ!」
先程我慢した感情が一気に溢れ出てくる。
『…っ』
私を無視しないで。
爆豪くんやみんなをバカにしないで。
切島くんを、傷付けないで。
「カフェ!」
後方から上鳴くんの声が聞こえるが、今は振り返ってなんかいられない。
『(切島くんっ…!!)』
怒りの感情が両手に宿り、拳が震えた。
「お前はもう少し利口だと思惟していたのだが…なぁ!!」
糸目男子がそう言うのと同時に、肉塊が目の前から襲ってきた。
私はスライディングしてその下を通り抜け、糸目男子の前で間入れず立ち上がる。
そして…
『っらぁ!!』
スライディングの勢いに乗ったまま、全力で糸目男子の顔面を殴った。
「がはッ…!?」
「カフェ、後ろっ!」
遠くから上鳴くんの声が聞こえてくる。
同時に、先程躱した肉塊が、私の背後に迫っているのを気配で感じた。
『(せめてあと一発!)』
私は再度、糸目男子に飛び掛かった。
「!」
そして後ろ手で新装備のペンライトを取り出し…
「ぐあぁあっ!!?」
力強く彼の腹部に宛てがった。
電気ショックが糸目男子を襲う。
『(今の内に切島くんを…っ)』
「甘い!」
『うっ!?』
「カフェ!」
先程躱した肉塊に、背後から捕らわれてしまったのだ。