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「夜嵐イナサ…」
去って行く士傑高校の生徒の背中を見ながら、相澤先生がぽつりと呟いた。
「先生、知ってる人ですか?」
「凄い前のめりだな…よく聞きゃ言ってることは普通に気の良い感じだ」
「ありゃあ…強いぞ」
「「『…!』」」
三奈ちゃんの問いに即答する相澤先生。
「夜嵐。昨年度…つまりお前等の年の推薦入試、トップの成績で合格したにも関わらず、なぜか入学を辞退した男だ」
「えっ…じゃあ、一年…!?」
『(推薦入試トップの成績ってことは、実力は轟くん以上…!?)』
「それでは雄英の皆さん!失礼しますッ!!」
私達と同い年である夜嵐くんは律儀にこちらに頭を下げ、士傑高校の皆さんの後を追って行った。
「夜嵐イナサ、だっけ?雄英大好きとか言ってた割に、入学は蹴るってよく分かんねェな…」
「ねー。変なの」
「変だか本物だ。マークしとけ」
相澤先生の声に頷くと、今度は後ろから大きな声がした。
「イレイザー!?」
「っ!」
相澤先生が珍しく表情を崩す。
そこには、これまた綺麗な女性が立っていた。
ちゃんと巨乳だ。
「イレイザーじゃないか!テレビや体育祭で姿は見てたけど、こうして直で会うのは久し振りだな!」
「あの人…」
やけに親しげな女性を見て、緑谷くんが何やら呟いている。
「結婚しようぜ」
「しない」
「わぁー!!」
凄いな相澤先生、見事に一刀両断だな…。
「ブッハー!しないのかよ!ウケる!」
「相変わらず絡み辛いな、ジョーク」
「スマイルヒーローMs.ジョーク!"個性"は"爆笑"!近くの人を強制的に笑わせて、思考行動共に鈍らせるんだ!彼女の敵退治は狂気に満ちてるよ!」
ヒーローオタクの緑谷くんが興奮しながら、分かりやすく解説してくれる。
「私と結婚したら、笑いの絶えない幸せな家庭が築けるんだぞ!」
「その家庭幸せじゃないだろ」
「ブハ!」
笑いのツボが浅いのだろうか、Ms.ジョークはお腹を抱えて笑っている。
「仲が良いんですね?」
「昔、事務所が近くでな!助け助けられを繰り返す内に相思相愛の仲へと」
「なってない」
「良いなぁその速攻のツッコミ!イジり甲斐があるんだよな、イレイザーは!」
笑いながら言う彼女に、相澤先生は苦虫を噛み潰したような表情をしている。
「何だ、お前の高校もか」
「そうそう!おいで、みんな!雄英だよ!」
Ms.ジョークの声のした方を見てみると、ちょうど大型バスから生徒達が降りてくるところだった。
「おぉ、本物じゃないか!」
「凄いよ凄いよ、テレビで見た人ばっかり!」
「傑物学園高校2年2組、アタシの受け持ち。よろしくな!」
「俺は真堂!」
Ms.ジョークの隣から一人の男子生徒が飛び出して来た。
「今年の雄英はトラブル続きで大変だったね。しかし君達は、こうしてヒーローを志し続けているんだね!素晴らしいよ!」
真堂と名乗ったその生徒は、緑谷くん、上鳴くん、響香ちゃん…と、みんなの手を順番に取る。
いつの間にか私も手を取られていた。
「不屈の心こそ、これからのヒーローが持つべき素養だと思う!」
「眩しい!ドストレートに爽やかなイケメンだ…!」
「その中でも、神野事件を中心で経験した爆豪くん」
「あ?」
「君は特別に強い心を持っている。今日は君達の胸を借りるつもりで頑張らせてもらうよ」
ニッコリと爆豪くんに微笑み、手を取ろうとする彼に対して、爆豪くんはパシッとその手を払い除けた。
「フかしてんじゃねェ!台詞と面が合ってねぇんだよ」
『ちょ、爆豪くん…!』
「こらおめー失礼だろ!すいません無礼で…!」
私は切島くんと共に、真堂さんに向かって頭を下げる。
「いいんだよ、心が強い証拠さ」
「ケッ」
爆豪くんはプイッと顔を逸らしてしまった。
「ねぇ轟くん、サインちょうだい!体育祭、格好良かったんだぁ~!」
「はぁ…?」
「やめなよ、ミーハーだなぁ」
「オイラのサインもあげますよ」
私達の隣では、傑物学園高校の生徒達が轟くんを囲んで盛り上がっていた。
そんな私達を見て、今度は相澤が声を上げる。
「おい!戦闘服に着替えてから説明会だぞ。時間を無駄にするな!」
「「『はい!』」」
お喋りも程々に、私達は会場内へと足を向けた。