03
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あの後ヒーロー基礎学の授業を終え、今は放課後だ。
『…』
ちなみに尾白くん、透ちゃん、私のチームは轟くんの氷で瞬殺されました。
しかも私だけランダム位置でスタートだったから、尾白くんと透ちゃんと合流する前に何も分からないまま…
ただ、開始と同時に足が凍ったと思えば溶かされて…気付いたら終わってた。
何も出来なかった自分に不甲斐無さを感じる…けれど今は、それよりも…
『(緑谷くんの怪我が気になる…!)』
あの授業以降、緑谷くんはずっと保健室に居たため姿を見ていない。
「緑谷…帰って来ねェな」
切島くんの言葉に私は頷く。
『私、ちょっと様子見てくるよ』
緑谷くん、昨日も怪我してたし大丈夫なのかな…
それに、緑谷くんのあの怪我がリカバリーガールの"個性"により、今日一日で治せるのか…
治すためにはどれくらい力を使うのか…
その辺りもリカバリーガールに聞いてみたい。
私の周りで治癒・回復系の"個性"を持つ人は珍しいため、リカバリーガールの動きを良く見ておきたいのだ。
「ケロッ…頼むわね、モカちゃん」
梅雨ちゃんの言葉に頷き、私は教室を出た。
***
『失礼します…』
「おや、アンタは…」
保健室には机に向かうリカバリーガールと緑谷くん以外に人は居なかった。
『1-Aのカフェモカです、緑谷くんの様子を見に来ました。どうですか?彼…』
静かにベッドの方へと近寄る。
「昨日の今日だからねぇ…今日全快、という訳にはいかないよ」
『そうですか…』
そりゃそうだよね、あんなに爆破や打撃を受けた後に超パワーで右腕一本ヤってしまったんだから…。
「アンタ確か入試の時、他の受験生の治癒をしてた子だね?」
『覚えていてくださったんですか…!はい、回復の"個性"を持っています。まだまだ力不足ですが…』
「この子が昨日、体力テストの後ここに来た時言ってたよ。クラスメイトが"個性"を使って痛み止めをしてくれたって」
『昨日は体力テストで自分の体力がほとんど残ってなくて。私の"個性"は使えば使うほど眠くなるので…微力ですが、痛み止め程度のお手伝いはしました』
それを聞いてリカバリーガールは苦笑いを浮かべる。
「…アンタのその"個性"、"使い時"を間違えるんじゃないよ?」
『…使い時…?』
聞き返すとリカバリーガールは頷いた。
「使えば使うほど眠くなるってのは最大のデメリットさね。もし目の前でヒーローが攻撃を受けて回復手当てを施したとしても…ヒーローがやられるほどの怪我だ、アンタの"個性"上、相当眠くなるよ。下手すりゃ敵の目の前で眠ることにもなり兼ねない」
『…』
リカバリーガールの、的を射過ぎた指摘が耳に痛い。
「アタシ等の類の"個性"は希少って言われているのは知ってるね?…悪いように考える輩も、居ないことはないからね。注意するんだよ」
『はい…』
「あと…」
リカバリーガールは視線を緑谷くんに映した。
「この子に関しちゃあ、自分から怪我をしに行っているような面もある。アタシもずっと看てやれる訳じゃない…」
私も眠っている緑谷くんを見つめる。
「この子のこと、少し気にしてやってくれるかい?」
『!…分かりました!』
看護教員であるリカバリーガールよりも、クラスメイトの私の方が緑谷くんと共に過ごす時間は長いということを踏まえての発言だろう。
「まぁアタシも説教じみたことは言いたくないんだ…元気出していきな!」
『は、はいっ!』
リカバリーガールのところへ来て、本当に良かった。
私の大きな声に反応したのか、緑谷くんがゆっくりと目を覚ます。
「…目が覚めたかい?」
「うわっ!?」
緑谷くん…私が大声出した所為で起こしてしまって申し訳ない…けど良かった、目が覚めて。
緑谷くんとリカバリーガールは軽くやり取りをして、明日も保健室に来るということで話は落ち着いた。
「ふあっ!ど、どうしてカフェさんがここに!?」
『緑谷くんお疲れ様!みんな心配してたから代表で様子を見に来たんだ。…教室、戻ろっか?』
そう言って笑い掛けると、緑谷くんは顔を赤くして頷いた。