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19時…まだ寝るには早過ぎる時間だ。
一日のやるべきことを済ませてしまった私は、自室のベッドに横になっている。
今日は自主練さえ、する気にはなれなかった。
『…』
さっき、みんなの前ではいつも通りに振る舞っていたつもりだったけれど…
正直、めちゃくちゃ不安だ。
単純に、初めて受ける試験への緊張…
自分だけ完成しない必殺技…
徐々に開いていく、周りとの差…
不安要素が多過ぎて、挙げ始めるとキリが無い。
『(ダメだ、余計なこと考えるな…!明日は試験本番なのに…)』
そう思い込もうとするも、どうしても私の脳内を不安要素が襲ってくるのだ。
『(ダメだダメだ、何もしてなかったら思考が段々ネガティブな方向に…。身体でも動かしに行こうかな…でもなぁ…なんか、今は動きたくないなぁ…)』
私はベッドに仰向けに寝転がり、目を閉じる。
ゴンゴン!
『!…はーい?』
突然、力強いノック音が室内に響いた。
私は寝転んだまま声を上げる。
ガチャッと音がして、開いた扉の方を見てみると、そこには切島くんが居た。
『切島くん…?』
「おぅ!」
切島くんはこちらに向かって軽く手を上げ、後ろ手で部屋の扉を閉める。
「何だよ、もう寝んのか?」
『うぅん…寝ようと思ったんだけど、なんか寝れなくて』
身体を起こすと、切島くんは私の隣に腰掛けた。
ギシッとベッドの軋む音がする。
『切島くんこそ…何かあったの?大丈夫?』
「お前なぁ…俺じゃなくて自分の心配しろよバカ」
『うっ…』
「まぁそこがお前の良いとこなんだけどな!」
ニカニカと笑いながらそう言う切島くんの表情は明るい。
そんな切島くんが眩しく感じ、私は思わず俯いた。
『…切島くん、必殺技完成した?』
「あぁ!まぁな!」
『そっか!流石だねぇやっぱ…』
私は俯いたまま言葉を続けた。
『私はさ、全然ダメだよ。何も進んでない。もう試験は明日なのに、必殺技はひとつも完成してなくてさ…』
「…なーに、ネガティブになってんだよ?」
『ネガティブにもなるよ~…私だけ置いてけぼりな訳だし…』
「オメェなら大丈夫だ、きっとすぐ巻き返しにくる。心配すんな!」
『…切島くんが思ってるほど私、デキるヤツじゃないよ』
「んなこと…」
『あるよ』
半分投げやりになりながら、切島くんの言葉に被せるようにして私は言った。
「『…』」
沈黙が続く。
『…切島くんは寝ないの?』
「ん~、寝るにはまだ早ェしなぁ」
『明日に備えて早めに寝た方が良いと思うよ』
「…嫌だ、寝ねェ」
『何で?』
チラリと切島くんの方を見てみると、こちらを見る切島くんと目が合った。
「だってこのままだとお前、一人で泣くんだろ?」
『!』
私は慌てて目線を逸らした。
…図星だったからだ。