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放課後。
辺りは既に薄暗くなっていた。
『っらぁ!』
「フンッ!」
切島くんと私は寮の庭の隅っこで特訓をしている。
とは言っても、私の必殺技習得に切島くんが付き合ってくれているという形なので、いつもの組み手ではない。
一方的に私が、硬化した切島くんに連続攻撃を仕掛けるというものだ。
私は授業中にエクトプラズム先生にしていたように、切島くんに連撃を繰り出す。
『よっ!』
「来いッ!」
攻撃が決まった…
かと思えば切島くんは硬化しており、全くダメージを与えることは出来なかったようだ。
『いったぁぁあ…!!うぅーん、ダメだなやっぱ…てか切島くん、硬さ増した?前より硬くなってる気がする…』
「っへへ!もしかすっと、強度が上がったのかもな!」
切島くんはそう言いながら嬉しそうに笑った。
『!』
…切島くんが、みんなが、強くなっていく。
彼等に置いて行かれる訳にはいかない。
『…ねぇ、今度はいつものやろう!』
「お、やるか!」
焦る気持ちをなんとか隠して、私が構えのポーズを取る。
すると切島くんも構えの体勢に入った。
"いつもの"とは、組み手のことだ。
「『スタート!』」
どちらからともなく踏み込み、殴る蹴る避けるを繰り返す。
『うらぁ!』
「っぶねェ!フンッ!!」
『おっと…!』
「オラァ!!」
『うわぁっ!?』
隙を突かれてグラついた私に、切島くんが重い一撃を喰らわせ…
「…、」
『…!?』
…なかった。
私はその間に切島くんから飛び退き、体勢を立て直す。
『…』
「…」
切島くんと私の間に沈黙が走る。
『………切島くん…』
「…、…どうした?」
私が切島くんの名を呼ぶと、彼はピクッと反応した。
でもそれを誤魔化すように言葉を続ける。
『何で今、攻撃やめたの?』
構えのポーズを取るのをやめ、私は切島くんの目をじっと見て言った。
すると、切島くんはバツが悪そうに目線を逸らす。
「い、いや…やめたとかじゃねェ。動きが追い付かなかっただけだ」
『嘘…だよね。さっき明らかに一瞬迷ってたもん』
「…」
切島くんが攻撃出来るタイミングで攻撃して来なかったなんて、こんなことは初めてだ。
「…悪ィ」
『謝って欲しい訳じゃないよ、手加減しないで欲しいだけで…』
「…」
『…ねぇ…なんで…?』
私がそこまで言うと、切島くんは黙り込んでしまう。
「『…』」
少し、空気が重くなった気がした。