17
name change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「うぉおお!!」
「必殺!"こう…手から酸を…ドバァアアア"!!」
早速必殺技作りに打ち込むみんなの声がTDL内に木霊する。
みんなは各々自分でイメージした必殺技があるみたいだ。
私は林間合宿で取り組んでいたことをマスター出来れば、それを必殺技として使っていこうと思っている。
『せいっ!ふんっ!っらぁ!』
まずはエクトプラズム先生(分身)を体術の連撃で出来る限り追い込み…
「クッ!」
エクトプラズム先生を薙ぎ倒す。
そしてすぐに先生の隣に膝をつき、打撲箇所に両手を翳した。
『(瞬間的に最大パワーを両手に込めて…対象を一瞬で回復させるっ…!!)』
私は全力で"個性"を発動し、両手に力を込めた。
カッ!
一瞬、大きな光が自分の手に宿る。
…が…
「………変ワラナイナ…」
『………変わりませんね…』
回復スピードはいつも通りで、じわじわゆっくりと治っていく。
感覚がよく掴めず、発動最大限を開放出来なかったみたいだ。
エクトプラズム先生の打撲箇所は、自分の思うように一瞬では治らない…。
『あ゙ぁ〜…これで何回目だろう、失敗するの…』
私はガックリと項垂れる。
この授業中はずっと体術の連撃と回復を繰り返しており、そろそろ疲労感と眠気が強くなってきた。
『(この技使えるようになったら、かなり使えると思うんだけどなぁ…)』
私は唇を尖らせながら、自分の掌に視線を落とした。
「フム…今マデハ"個性"ヲ使イ過ギナイヨウニリミッターヲ掛ケテイタ分、突然最大パワーヲ出スノハ難シイダロウ」
『はい…』
そう、私はデメリットである"個性を使えば使う程眠くなる"ことを恐れ、今まで最大パワーは出来るだけ使ってこなかったのだ。
だからこそ最大パワーを出すという感覚が分からない。
…それがここに来て足枷になるなんて。
「マァソウ焦ル必要ハナイ…最初ニ比ベルト精度ガ上ガッテキテイル」
『!』
「練習の回数ヲ重ネルコトダ。ソレニ先程ノ連撃モ、モウ少シパワーヲツケレバ必殺技ト言エルヨウニナルダロウ。コノママ全力デ励ムト良イ」
『ありがとうございます…!』
「後は"イメージトレーニング"だな!」
『!?』
突然背後から聞こえてきた声に振り返る。
『オールマイ、ト…』
視界に入ったのは、以前の爆豪くん奪還後にモニター越しに見た、痩せ細った姿のオールマイトだった。
ここに来て、オールマイトの現役引退を実感する。
『…』
「Hahaha!カフェ少女、何だその寂しげな顔は!」
頭を数回ぽんぽんと撫でられ、私は心が落ち着くのを感じた。
そうだ…
姿は違えど、彼がオールマイトであることに変わりはないのだ。
『いえ…!イメージトレーニング、頑張ります!』
「うん、また見に来るよ!」
ひらひらと手を振ってこちらに背を向けるオールマイトに、軽く頭を下げる。
「やぁ、切島少年!」
「オールマイト!」
顔を上げると、オールマイトのズボンに目が行った。
「私がアドバイスして回るぞ!君の硬化なら小細工を考えるより、ゴリ押し技の方が良いよ!」
『あ…』
オールマイトのお尻のポケットにはとある本が入っていた。
本のタイトルは、"すごいバカでも先生になれる!"。
『…あははっ』
私は一人小さく笑った。
やっぱりオールマイトはオールマイトだ。