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そうやって切島くんと話している内に、最寄り駅に着いた私達は駅で解散した。
比較的家の近い切島くんと私は只今、足を揃えて自宅へと向かっている。
「なぁモカ、廃工場での話…掘り返して悪ィんだけど…」
『ん?』
「お前さ…爆豪を奪還してすぐ、俺から離れようとしただろ」
『…?』
切島くんの言っている意味がよく分からず、私は小首を傾げた。
「爆豪が俺等ん所へ飛んで来て、敵が追って来ようとした時。Mt.レディが庇ってくれたから救かったけど…もしMt.レディが庇ってくれなかったらお前、敵陣に突っ込んで行ってただろ」
そこまで言われてドキッとする。
『…あの時は敵が追って来てたから…!みんなは手が塞がってたし、私が行かなきゃって思って…』
「俺達の作戦は"敵と戦わずに"爆豪を救けることだったんだぜ?」
『うっ…それは…そうだけど…』
それを言われてしまっては何も言えなくなる。
そうだよね。
緑谷くんがせっかく考えてくれた作戦を台無しにするところだったし、もしあの時交戦してしまっていたら私はルール違反をしていたことになる。
先程、駅前のモニターで見た先生方の記者会見を思い出して、私は俯いた。
「マジで焦った。またモカが敵に…死柄木に捕まるんじゃねェかって、すっげェ不安になった」
『ご、こめん…』
「お前のそういうとこ、男らしくて好きだったんだけどな。いつからか怖くなっちまったみてーだわ、俺」
『…』
私が、弱いから。
弱いから切島くんにこんなにも心配させてしまっているんだ。
USJ事件の時も、職場体験中に攫われた時も、林間合宿中も。
『(私は一人で戦えずに救けてもらってばかりだった…)』
USJではオールマイトに。
職場体験中は死柄木弔の"機嫌"に。
林間合宿中はマンダレイと虎さんに。
『(全部、ただ運が良かっただけだ…)』
もっとちゃんと、強くならないと。
「…」
俯く私を見た切島くんは、わしゃわしゃと私の髪を乱暴に撫で回した。
「バッカ、んな顔すんなよ!漢気あるヒーロー目指す者としては、お前のそういうとこ気に入ってんだ!」
『う、うん…』
「おら、着いたぞ!」
ぐちゃぐちゃにされた髪を手櫛で整えながら顔を上げる。
いつの間にか自宅前まで帰って来ていたようだ。
「さ、疲れただろうし今日は早く寝ろよ?」
『…切島くんもね。送ってくれてありがとう!』
「あぁ、気にすんな!」
『じゃあまたね!おやすみ』
軽く手を振り玄関へと足を一歩出すと、後ろから声が掛かる。
「…モカ!」
『ん?』
振り返ると切島くんはハッとした様子で首を横に振った。
「い、いや何でも無ェ。引き止めてワリィ…じゃあな!」
『だいぶお疲れだね。帰り気を付けてね!』
「分かってるって!」
今度こそ手を振り別れた私達。
『…』
回復の"個性"だけじゃ戦えない。
私の体術はまだまだだし、もっと力を付けなくちゃいけない…
強くならなくちゃ…
強く…強く…もっと、強く…
みんなを、切島くんを、守れるくらい強く。
(力が欲しい)