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そして切島くんと初めて出会った翌日。
学校帰りに昨日と同じ所で同じような怒鳴り声が聞こえ、私はまた物陰に隠れた。
『(切島くん、まさか昨日の今日で…!?)』
「テメェ、昨日はよくも逃げやがったな!」
「何だよお前等、暇人かよっ…!」
そこに居たのはやっぱり切島くんと昨日の不良達だった。
話の内容からするに、切島くんがこの道を通り掛かるのを待ち伏せしていたらしい。
「慰謝料でも何でも良いから、金寄越せ!」
『!切島くん危ないっ…』
「危ねーのはお前だよっ!」
『!?』
一瞬、何が起こったか分からなかった。
不良の一人が切島くんに殴り掛かりそうになったのを見て、私は飛び出した…
つもりだったが、グイッと後ろから引っ張られた。
不良の仲間と思わしき人物に腕を掴まれたのだ。
そして間入れず、
ゴッ
私は顔面を殴られた。
『い゙っ…!!ゲホ、ゴホッ!』
「カフェ!?」
口内に血の味を感じながら、殴られた勢いで私は地面に倒れ込む。
「オイ、女だぞ…!?コイツは関係無ェだろ!?」
「うるせぇ、金寄越せや!払わねェならこの女もう一発殴んぞ!?」
「だァから!お前等がぶつかって来たんだろ!?」
不良達の勢いに乗せられた切島くんは、彼等に言い返している。
冷静になれていないようだ。
『(と、とりあえず逃げて回復しなきゃ…いったァ~…!)』
切島くんと言い合いを続けていく内に、段々と機嫌を悪くする不良達。
私はそんな不良達に気付かれないよう立ち上がり、ゆっくりと後退る…が。
「ムッカつくクソガキだなァ!分かったよ、じゃあこの女サンドバックにしてやるよ!!」
その声と同時にもう一度、私に向かって拳を振り翳されるのが分かった。
『(殴られる!)』
迫り来る痛みに備え、私は目をギュッと閉じる。
ガチィン!
大きな音が辺りに響いた。
身を固くするも、待ち受けていたその痛みはいつまで経ってもやって来ない。
恐る恐る目を開けると、私の目の前には切島くんが立っていた。
全身ガチガチな状態で。
…それからの展開は早かった。
不良達がガチガチな状態の切島くんを何度も殴るのと同時に、諸刃の剣と言うのだろうか、不良達の拳が悲鳴を上げ始めたため、彼等は呆気無く去って行った。
とは言え、切島くんはずっとガチガチ状態を保てていた訳ではないので、隙を突かれて何度か拳をその身に受けていたけれど…。
不良達が去った後、私達は近くの公園のベンチに腰を下ろした。
私は切島くんの怪我を回復させながら彼と話をする。
「お前の"個性"凄ェな!回復かぁ~、超カッケェじゃん!」
『んーん、それより切島くんの方が凄かったよ…!さっきのが切島くんの"個性"?』
「あぁ、俺の"個性"硬化!地味だけどな…」
どこか遠い目をする切島くんを見て、私は首を横に振った。
『そんなことないよ、格好良かった!守ってくれてありがとう!』
私を背中に隠して守り続けてくれた切島くんは格好良かった。
私が感謝の言葉を述べると、彼は満足気に笑ったのだった。
***回想終了
『懐かしいね~!』
「まさかあの時、女子に救けられるとは思ってなかったぜ!」
「「「(寝れねぇ…!)」」」
切島くんと私は昔話で盛り上がっていた。
その話を、狸寝入りしていたみんなが聞いていたとは知らずに…。