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***回想
あれは中学一年の春。
学校帰り、大通りから少し逸れた小道を一人で歩いていると何やら男の人の声が聞こえた。
「おいおい、ぶつかって来といてなんだその態度はよォ!」
「慰謝料払え!」
『(漫画みたいな不良だ…今時こんな絡み方する人居るんだな…)』
声が聞こえた方を通らなくても家には帰れるけれど、気になったので物陰から少し顔を覗かせて様子を伺う。
「ぶつかって来たのはアンタだろーが!」
『(ウチの学校の生徒だ…!)』
複数の不良達にたった一人で対抗しているのは、ウチの学校の制服を着た男子生徒だった。
「調子乗んなよ!?」
不良の一人が男子生徒に向かって拳を振り翳す。
私は何を考えるより先に、彼等の前へ飛び出した。
『こっち!』
「!?」
私は男子生徒の手を掴んで走った。
しばらく走って公園の遊具の中に隠れ、息を整える。
『ハァ…ハァ…追って、来てない、みたいだね…!』
「な、何だよオメー…」
『あ、ごめん…』
私は彼の手首からパッと手を離す。
『学校同じだよね?変な人達に絡まれてるの見掛けたから、つい…』
「逃げる必要なんか無かったのによ…」
不良達から逃げ切れたと言うのに、男子生徒は不満そうにしていた。
私は思わず首を傾げる。
『え?』
「あれはアイツ等がわざとぶつかって来たんだ。なのに何で俺が逃げなきゃなんねーんだよ…救けてくれたのはありがてェけど、逃げるなんて男らしくねェ!」
眉間に皺を寄せてそう話す彼は、自分は悪くないのに逃げたことが不服なようだ。
『"男らしくない"、かぁ…』
確かに彼は嘘をついているようには見えないし、不良達からぶつかって来たのだろう。
けれど。
『ん~…面倒事起こす前に、怪我せずパパッと済ま終わらせるのも格好良いんじゃない?』
「!…言うねぇ」
私の言葉を聞いた彼は一瞬驚いたような表情を見せた後、口角を吊り上げた。
「俺、一年の切島鋭児郎!お前は?」
『カフェモカ、私も一年だよ!学校で会うこともあるかもね!』
これが彼…切島くんとの出会いだった。