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《「えっと…何が…?皆さん見えますでしょうか!?オールマイトが…萎んでしまっています…」》
『え…あの人が、オールマイト…?』
にわかに信じ難いけれど、現についさっきまでオールマイトが立っていた所に男性は立っているし…
オール・フォー・ワンも、オールマイトと話していた時と同じ口調でガリガリの男性と話を続けている。
それに体育祭で負傷した緑谷くんを保健室に見に行った時、確かあの人も居たはず…!
「え、オールマイト…ヤバくない?」
「頑張れ、オールマイト!」
やっぱりあの人がオールマイトなんだ…!
『オールマイト…!!』
「勝って!!」
「勝てや!!」
私達はモニター越しに、オールマイトに向かって必死に声援を送った。
オールマイトの元にエンデヴァー、エッジショット、シンリンカムイ等のプロヒーローが続々と駆け付ける。
モニターの端では、シンリンカムイがベストジーニストとMt.レディを保護しているところを確認出来た。
『ベストジーニスト…!良かった…』
私はほっと溜め息を漏らした。
そして…
「「『オールマイトー!!!』」」
街中の人々全員で叫んだ。
…その瞬間、テレビのモニターを爆風が襲う。
オールマイトが全力で攻撃を仕掛けたのだ。
爆風や竜巻などで、テレビの視界が覆われているためどうなっているかは分からない。
『…』
辺りを静寂が包み込む。
土煙が消えていくのを見ていると、その奥ではオールマイトが一人、立っていた。
ゆっくりと彼の手が上がる。
そしてその細い…
いや、逞しい腕を、オールマイトは天に突き上げた。
「お…」
「「『オールマイトーッ!!!』」」
ワァアと辺りで歓声が上がる。
《「敵は…動かず!勝利!!オールマイト!勝利の!スタンディングです!!」》
『…っ!』
力が抜けた私は膝から崩れ落ちそうになる。
が、それを切島くんが支えてくれた。
「オールマイッ!オールマイッ!」
オールマイトコールが辺りに響いていた。
***
『これで良し、と!』
私は爆豪くんに引き続き、切島くん、緑谷くん、飯田くん、と、順番に回復手当を施した。
「処置を施してくれたこと、感謝する。カフェくん、ありがとう!」
『えへへ、やっとみんなの役に立てたよ~…ふぁあ…っくぅ』
私は迫り来る眠気になんとか耐えながら欠伸を噛み殺した。
《「オールマイトの交戦中も、ヒーローによる救助活動が続けられておりましたが、死傷者はかなりの数になると予想されます…!元凶となった敵は今…あっ今!移動牢(メイデン)に入れられようとしています!オールマイト達による厳戒態勢の中、今…」》
「現在電車は動いておりません!」
あれからしばらく立ったが、駅前は凄い量の人混みであるため中々自由に身動きが取れない。
更に電車も動いていないと来た…
さて、どうやってこの場から撤退しよう。
「身動き取れんな…!轟くん、八百万くん等と合流したいが…」
「とりあえず動こうぜ!爆豪のこと、とりあえずヒーロー達に報告しなきゃなんねェだろ?」
「うん!」
「そうだな!」
切島くんは、自然な流れで爆豪くんの手を取ろうとしたが振り払われていた。
《「次は…」》
モニターから微かに聞こえたオールマイトの声に、振り返る。
《「次は、君だ」》
オールマイトは短くそう言って、モニター…こちらを指差した。
「うぉおおお!」
「やっぱ凄ェよオールマイト!!」
盛り上がる人々の隣で、俯く緑谷くんが気になりちらりと彼を見る。
いつもなら、"カッコイイ"と言って大興奮しそうなのに…
「うっ…うぅ、うぅぅうっ…!!」
緑谷くんは、泣きじゃくっていた。
「…」
そして、爆豪くんがそんな緑谷くんを黙ってじっと眺めていたところを見た。
『…』
いつもなら肩を叩いたり、何かしら励ます行動に出る私だけれど…
この時ばかりは"私が動くべきではない"と、直感的にそう思った。