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パチパチと拍手の音が鳴り響く。
暗闇の中から現れたのは一人の男だった。
ベストジーニストの視線はその男を捉えているので、私達が見つかった訳では無さそうだ。
「流石No.4ベストジーニスト!僕は全員消し飛ばしたつもりだったんだ!皆の衣服を操り瞬時に端へ寄せた!判断力、技術…並の神経じゃない…!」
「話が違う…だから何だ…?一流は、そんなものを失敗の理由に…」
ドォンと派手な音がした。
『うっ…?』
反射的に目を瞑った私はゆっくりと目を開く。
次に見えたのは、一瞬にしてボロボロになり、腹部に大きな穴が開いたベストジーニストの姿だった。
『っ…!!』
声を上げそうになった私の口元を、大きな手が覆う。
見上げれば、切島くんが首を横に振っていた。
"声を出すな"と。
『(でも待ってよ…!!嘘でしょ、ベストジーニストが…!No.4ヒーローだよ?こんな一瞬で…!何、今の攻撃…回復させるとか、そんな次元の話じゃない…!ベストジーニスト、死んじゃうの…!?嘘…嘘…っ)』
ぽろぽろと目から涙が溢れ落ちた。
『(逃げなきゃ、救けなきゃ)』
二つの考えが頭の中がぐちゃぐちゃになって私の脳内を駆け巡る。
「(何だあいつ…何が起きた…!?)」
「(一瞬で全部…掻き消された…!?)」
「(逃げなくては!分かっているのに…)」
「(恐怖で…身体が…!)」
「「『(恐怖で…身体が、動かない…!!)』」」
動かなきゃ、そう思うのに。
何より"恐怖"で身体が動かない。
自分の身体なのに、金縛りにあったかのようにその場にガチッと固まり動けなくなってしまった。
その時、聞き覚えのある声が聞こえてきた。
「ゲッホ!!くっせえぇ…!んっじゃこりゃあ!!」
『(爆豪くん!?…と、)』
「悪いね爆豪くん」
「あ!?」
「うぉえ…」
「何なんですか…」
「なんかくっせぇ!いいにおい!」
「先生…」
「また失敗したね、弔…」
『(死柄木弔…!!)』
爆豪くんと共に突然現れたのは、林間合宿中に私達を襲った敵連合のメンバーだった。
「でも決してめげてはいけないよ?またやり直せば良い…こうして仲間も取り返した。この子もね…君が"大切な駒"だと考え判断したからだ」
男は死柄木弔に優しい声で語り掛け、手を差し出している。
「いくらでもやり直せ。そのために僕がいるんだよ?全ては、君のためにある」
『(…あの男が、死柄木弔の…!敵のボス…!!)』
怒りや悔しさ等の色んな感情が込み上げてきたその時、ゆっくりと口元から手が離れていった。
手の主…切島くんの方を見てみると、彼は真っ直ぐと爆豪くんの方を見つめていた。
「…」
そしてたぶん無意識だろう、ゆらりと動く切島くん。
今度は咄嗟に私が切島くんにしがみつき、彼をその場に留めようとする。
が、切島くんの力は強く、留まってくれそうになかったため私はヤオモモに目配せして、二人掛かりで切島くんをその場に留めた。
私の隣では飯田くんが、緑谷くんと轟くんの腕を掴んでいる。
「やはり、来てるな?」
「!」
男…敵のボスが、ぽつりと呟いた。
『(バレた…!?)』
「全てを返してもらうぞ、オール・フォー・ワン!!」
「また僕を殺すか、オールマイト!!」
心臓が一瞬止まったかと思ったその時、空の彼方からやって来たのは、オールマイトだった。