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「ここが発信機の示す場所ですわ」
「あれがアジト…いかにもだな!」
しばらくヤオモモの発信機を頼りに歩くと、工場のような建物のある、薄暗い場所に出て来た。
この辺りの人通りは多くも少なくもない。
「分かりません…ただ私が確認した限り、敵は丸一日ここから動いてません。その敵がここに居るからと言って、爆豪さんが居るとは限りません…私達が今どれだけか細い情報でここに立っているか、冷静に考えてみてください」
「この中には耳郎くんや葉隠くんのような、スニーク活動に秀でた者は居ない。少しでも危険だと判断したらすぐ止めるぞ!友であるからこそ、警察への通報も辞さんからな…!」
「ありがとう、飯田くん。出来る範囲で出来ること考えよう」
緑谷くんの言葉に私達は頷いた。
「前提条件は僕等が"個性"を使わず、且つ敵との戦闘を避けること、その上…」
顎に手を置いて、いつものブツブツモードに入る緑谷くん。
「久々に見るな、ブツブツ」
「緑谷さんって感じですわ」
『でもこのブツブツの後、いつも良い案出してくれるんだよね、緑谷くん』
私は緑谷くんを見て苦笑した。
***
「電気も点いてねェし、中に人がいる感じはねェな」
「木を隠すなら森の中…廃倉庫を装ってる訳だな…」
「正面のドア、下に雑草が茂ってる…他に出入り口があるのか?どうにか中の様子を確認出来ないものか…」
『窓とか換気扇の通気口とか無いかな…?工場装うくらいだし、ありそうだと思うんだけど…』
みんなで知恵を寄せ合っていたその時。
『!』
突然、グイッと腕を後ろに引かれた。
私は引っ張られた力によって少しよろける。
『(敵!?見つかっ…)』
「ホステス~!何してんだよホステスぅ~!俺達と飲みましょ~!」
振り返ると見知らぬおじさん二人が居た。
「ひゃっ…あの…」
『うわ酒くさっ!なんだ、酔っぱらいかぁ…』
私の後ろで、見知らぬ成人男性の登場にビクビクと震えるヤオモモとは対象に、私は全く怖じ気付かずに居た。
「やーめとけバカ!」
「ガハハハ!」
軽く小突き合うおじさん二人に、私は口を開く。
『あの、腕離してくださ…』
「離せよ」
ずいっと私の前に出て、無理矢理おじさんの腕を引き剥がしてくれたのは切島くんだった。
『切島くん…』
「…」
切島くんに睨み付けられ、酔っぱらい二人が少し怯む。
その隙に緑谷くんと飯田くんが覚えたての言葉で、酔っぱらい二人を攻め始めた。
「コッラァ!!オッラァ!!」
「パイオツカイデーチャンネー居るよーッ!!」
おぉ…なんか二人共、初めの頃の恥じらいが無くなってきてて良い感じだ。
「一旦離れよう」
『うん…!行こうヤオモモ!』
「は、はいっ!」
移動し始める轟くんに続いて、ヤオモモと私はその場を後にした。
私を背にして庇ってくれた切島くんの姿を思い出すと、こんな時だというのにドキドキしてしまう自分が居た。